つくばみらい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「つくばみらい」の意味・わかりやすい解説

つくばみらい(市)
つくばみらい

茨城県南部に位置する市。2006年(平成18)、筑波(つくば)郡伊奈町(いなまち)、谷和原村(やわらむら)が合併して市制施行、つくばみらい市となった。西部から南縁を小貝(こかい)川、東縁を西谷田(にしやた)川が流れる。東部は微高台地で、西部は低地関東鉄道常総線、国道354号線、国道294号線、常磐自動車道が走り、谷和原(やわら)インターチェンジがある。1603年(慶長8)松下重綱が小張(おばり)城に入り(小張藩1万6000石)、20年間在城した。この間に始まったといわれる小張松下流綱火(つなび)、愛宕(あたご)神社に奉納される高岡流綱火はともに国指定重要無形民俗文化財。江戸初期には関東郡代伊奈氏によって小貝川東岸の低湿地帯の開発が進められる。1722年(享保7)には福岡(ふくおか)と大崎(おおさき)(現、常総市)間の小貝川に福岡堰が新設され、導水路の川通(かわどおり)用水、台通(だいどおり)用水などが開削されて広大な新田が開発された。小張村は谷田部(やたべ)街道の街村で、代官伊奈氏の陣屋が設けられていた。

 2005年(平成17)つくばエクスプレスが通じ、みらい平(だいら)駅から東京秋葉原(あきはばら)まで40分、つくばまでは12分で結ばれる。このため宅地開発が進み、マンションやショッピングセンターなどが整備され、首都圏への通勤者も多い。農業は低地では稲作、丘陵部の畑地ではトマト、キュウリなどの施設園芸、果樹栽培が行われ、畜産も盛ん。板橋(いたばし)にある不動院の本尊、木造不動明王及二童子立像は国指定重要文化財、同院の本堂・楼門・三重塔は県指定文化財。蝦夷地(えぞち)探検で知られる間宮林蔵の生家、および専称(せんしょう)寺にある林蔵の墓は県指定史跡。西丸山祈祷(にしまるやまきとう)ばやしは県指定無形民俗文化財。結城三百石記念館(新田開発の中心的役割を担い「結城三百石」と称された豪農結城家の屋敷を保存)、映画などのロケが行われる「ワープステーション江戸」などがある。面積79.16平方キロメートル、人口4万9872(2020)。

[編集部]


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改訂新版 世界大百科事典 「つくばみらい」の意味・わかりやすい解説

つくばみらい[市]

茨城県南西部の市。2006年3月伊奈(いな)町と谷和原(やわはら)村が合体して成立した。人口4万4461(2010)。

つくばみらい市東部の旧町。旧筑波郡所属。人口2万4656(2005)。小貝川をはさみ,取手市の北に位置する。北東部は台地,南西部は小貝川沿いの低地である。江戸時代初期,伊奈忠治・忠克父子の治水事業により沼沢地の開発が進み,〈谷原三万石〉といわれた米どころとなった。町名も,伊奈氏にちなむ。水田単作地帯であったが,近年ネギ,ニンジンなどの露地野菜や施設園芸が増えている。筑波研究学園都市や取手市に隣接するため宅地開発がすすみ,2005年には首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線が開業した。なお1970-80年に人口はほぼ2倍となった。樺太探検で知られる間宮林蔵の出身地で,生家が復元されている。仕掛花火の一種である綱火は重要無形民俗文化財に指定されている。台地上に四つのゴルフ場がある。

つくばみらい市西部の旧村。旧筑波郡所属。人口1万5518(2005)。小貝川沿岸の低地を占め,西境を鬼怒川が流れる。関東鉄道常総線,国道294号線が通じ,常磐自動車道の谷和原インターチェンジもある。鬼怒川,小貝川の乱流地帯であったが,江戸時代初期以降伊奈忠治の治水事業などによって新田開発が進み,広大な水田地帯となった。農業は米作が主体であるが,キュウリなどの施設園芸もふえている。農業機械,住宅資材などの工場が進出している。福岡にある小貝川の福岡堰は中・下流の岡堰,豊田堰とともに関東の三大堰といわれ,桜の名所としても知られる。
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百科事典マイペディア 「つくばみらい」の意味・わかりやすい解説

つくばみらい[市]【つくばみらい】

茨城郡南西部に位置する市。2006年3月,筑波郡伊奈町,谷和原村が合併し市制。関東鉄道,常磐自動車道,国道294号線,354号線が通じる。2005年5月につくばエクスプレスが開業。東日本大震災で,市内において被害が発生。79.16km2。4万4461人(2010)。

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