改訂新版 世界大百科事典 「ツボクサ」の意味・わかりやすい解説
ツボクサ
Centella asiatica(L.)Urban
山野の道端や広場に生えるセリ科の小型の多年草。葉は根生し,直径2~5cm,円形でスミレの葉を思わせる。葉の基部の腋(わき)から長い走出枝を地表にのばし,その先に新しい株をつくる。夏には葉の基部から短い柄のある小さい散形花序を出し,淡紫色を帯びた小さい花を数個つける。花には5枚の花弁,5本のおしべ,2本の花柱があり,子房は下位で,左右から扁圧された球形で緑色の果実をつけ,熟すと2分果に分かれる。本州の関東地方以西,四国,九州,中国から熱帯域のインド,東南アジア,アフリカにわたって広く分布している。マレーでは野菜の代用として食用にされ,東南アジア方面では葉をもんで傷口や皮膚のただれにはったり,下痢の薬として用いられることがある。
執筆者:村田 源
薬用
全草を積雪草(せきせつそう),連銭草(れんぜんそう)(日本ではこれらはふつうカキドオシをさすことが多いが誤りである)という。サポニンを含み,単独でまたは他の生薬と配合して下痢腹痛,黄疸,吐血,外傷の出血,食中毒などの際に煎服し,また搗(つ)き汁を外傷,疥癬(かいせん)などに外用する。
執筆者:新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報