つり合い(読み)つりあい(英語表記)equilibrium

翻訳|equilibrium

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

つり合い
つりあい
equilibrium

平衡ともいう。物体に二つ、またはそれ以上の力が働いて、物体が静止したままの状態であることをいう。質点におけるつり合いの条件は、この質点に働く力の合力(ベクトルとしての力の)がゼロであることである。小さな物体を机の水平な面上に置くと、この物体には重力Wと机の面が物体に及ぼす垂直抗力Nが働く(図A)。二つの力の大きさ、方向は等しく、向きは逆向きで、二つの力の合力はゼロになっている。
 剛体におけるつり合いの条件は、(1)剛体に働く力の合力がゼロであることと、(2)剛体に働く力のモーメント(トルク)の総和(ベクトル和)がゼロであることの二つである。さお秤(ばかり)のさおが水平になって静止しているとき、支点から物体の重心まで、分銅まで、さおの重心までの水平距離をそれぞれa1a2aとし、物体、分銅、さおに働く重力をそれぞれW1W2Wとすると(図B)、つり合いの条件(2)はa1W1=a2W2+aWと書かれる。条件(1)からは、支点を支える力FF=W1+W2+Wとなる。
 つり合いの条件が成立しても、つり合いの条件からすこしずれた位置で物体を離すと、〔1〕つり合いの位置を中心として物体が振動する場合と、〔2〕つり合いの位置からますますずれてしまう場合と、〔3〕すこしずれた位置でそのまま静止してしまう場合とがある。〔1〕を安定なつり合い、〔2〕を不安定なつり合い、〔3〕を中立のつり合いという。質点が、図Cの(1)、(2)、(3)のように、凹面、凸面、水平面上にあるときのつり合いは、それぞれ、安定、不安定、中立である。
 重力場における剛体のつり合いにおいても、つり合いの条件からわずかにずれるとき、〔1〕重心が高くなる場合には安定の、〔2〕重心が低くなる場合には不安定の、〔3〕重心の高さが変わらぬ場合には中立のつり合いになる。たとえば、やじろべえの重心の位置がつり合いの条件下で図Dの、(1)支点よりも低い場合、(2)支点よりも高い場合、(3)支点に一致する場合は、それぞれ、安定、不安定、中立のつり合いである。
 物体が運動をしているとき、ニュートンの運動方程式
  (質量)・(加速度)=(力)
が成立する。ダランベールは、この運動方程式を
  (力)+(慣性抵抗)=0
ここに、
  (慣性抵抗)=-(質量)・(加速度)
と書き換えた。すなわち、物体にはその運動状態をそのまま続けようとする性質(慣性)があり、物体に力が及ぼされて運動状態の変化がおこるときには、物体はこれに対して抵抗を示し、力とこの抵抗力(慣性抵抗)とがつり合っているとみなされる。この考え方をダランベールの原理という。静止している釣鐘を押すときに感ずる抵抗や、物体が円運動をしているとき、物体を円の中心に引く力(求心力)とつり合っているとみなされる遠心力は、慣性抵抗の例である(図E)。このような考え方は、運動方程式をつり合いの原理のなかに包括したものといえよう。[飼沼芳郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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