ツンベルギア(英語表記)clock-vine
Thunbergia

改訂新版 世界大百科事典 「ツンベルギア」の意味・わかりやすい解説

ツンベルギア
clock-vine
Thunbergia

キツネノマゴ科ヤハズカズラThunbergiaのつる性あるいは木本性の植物。中央アフリカ南アフリカマダガスカル,熱帯アジアに200種以上があり,大きく目だつ花をつけるものが多いので,いくつかの種が観賞用に栽植される。属の学名ツンベリーの名にちなむ。ヤハズカズラThunbergia alata Bojer(英名black-eyed-Susan vine)は小型のつる性多年草で,葉腋ようえき)に径3cmほどの5弁の花をつける。花弁橙黄色で,中心の筒状部は黒紫色となるが,中心が白色のもの,花弁まで純白の品種もある。4月に種をまけば夏~秋に開花するので,つり鉢や行灯仕立てにしたり花壇垣根にはわせるなど,一年草として楽しめる。葉柄には翼があり,葉は矢はず形をしている。木本性のツンベルギア・フォゲリアナT.vogeliana Benth.は紫青色の大輪花をつける。またツンベルギア・エレクタT.erecta T.Anders.は同じ紫青色の花をつけるが,花も葉もずっと小型で,よく分枝する。白色種もある。観賞温室では,大型のつる性種のローレルカズラT.laurifolia Lindl.やベンガルヤハズカズラT.grandiflora Roxb.などが栽培される。寒さには強く,5℃以上で越冬挿木で簡単にふやせる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツンベルギア」の意味・わかりやすい解説

ツンベルギア
つんべるぎあ
[学] Thunbergia

キツネノマゴ科(APG分類:キツネノマゴ科)ツンベルギア(ヤハズカズラ)属の総称。多年草または低木でつる性の種類もあり、熱帯アフリカ、マダガスカル島、熱帯アジアに約100種分布する。以下の各種がよく知られる。アラータT. alata Bojerは熱帯アフリカ原産のつる性多年草であるが、春播(ま)きして夏には開花するので、一年草として扱う。葉柄に幅広い翼があるのが特徴である。花は鐘状、花冠は5裂し、橙黄(とうこう)色で中心の筒状部は黒紫色であるが、白色花もある。垣根やグランドカバー、吊(つ)り鉢、行灯(あんどん)仕立てなどに利用する。フラグランスT. fragrans Roxb.は葉はやや多肉質で、葉柄に翼がない。花は白色で径4~5センチメートル、芳香はない。グランディフローラT. grandiflora Roxb.はベンガル地方原産の大形の多年生つる草。秋から冬に総状花序をつくり、青紫色花を開く。白色花の変種がある。ラウリフォーリアT. laurifolia Lindl.は花は前種によく似るが、葉は広披針(こうひしん)形でゲッケイジュの葉に似る。観賞温室などでまれに栽培される。エレクタT. erecta (Benth.) T.Anders.は熱帯西アフリカ原産の低木で、葉腋(ようえき)にらっぱ状の青紫色花を開く。白色花の園芸品種がある。フォーゲリアーナT. vogeliana Benth.はエレクタに形態がよく似るが、葉、花ともにはるかに大きい。一年中開花し、鉢植えにも向く。ツンベルギア属の各種は日当りをよくし、5℃以上で越冬する。繁殖は挿木による。

[高林成年 2021年10月20日]


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百科事典マイペディア 「ツンベルギア」の意味・わかりやすい解説

ツンベルギア

おもに熱帯アジア,アフリカに分布するキツネノマゴ科の一属。100種以上があり,10種くらいが観賞用に栽培されている。ツンベルギア・グランディフロラ(和名ベンガルヤハズカズラ)はインド原産で,分岐性のよいつる性。花は淡青色,筒状で先が5裂して径6cmほどに平開する。白花品もある。ツンベルギア・アラタは熱帯アフリカ原産のつる草で,ふつう春まき一年草として扱われる。葉の形からヤハズカズラの名もある。夏〜秋,花筒の入口に黒い斑紋のある5裂した黄または白色の花をつける。鉢植に向く。ツンベルギア・エレクタ(和名コダチヤハズカズラ)はアフリカ原産の,高さ1〜2mになる小低木。径5cm内外の青紫色,漏斗(ろうと)状花で,花筒は湾曲する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツンベルギア」の意味・わかりやすい解説

ツンベルギア
Thunbergia; clock-vine

ヤハズカズラ属といい,キツネノマゴ科の常緑低木で,つるになるものが多く,熱帯アフリカ,マダガスカル,インド地方などに約 200種が知られる。花冠は大型の漏斗形または鐘形で,紫,青,黄,白などがあり美しい。ヤハズカズラ T. alata,ベンガルヤハズカズラ T. grandiflora,ローレルカズラ T. laurifoliaなど観賞用に温室で栽植されるものが多く,南九州や沖縄,小笠原などの暖地では戸外で栽培され,一部は逸出して野生状態にもなっている。

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