日本大百科全書(ニッポニカ) 「テトラリン」の意味・わかりやすい解説
テトラリン(データノート)
てとらりんでーたのーと
分子式 | C10H12 |
分子量 | 132.2 |
融点 | -35.79℃ |
沸点 | 207.57℃ |
比重 | 0.971(測定温度20℃) |
屈折率 | (n)1.54135 |
引火点 | 77.2℃(密閉式) |
テトラリン
てとらりん
tetralin
脂環式化合物の一つ。1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンともいう。テトラリンではナフタレンの一方のベンゼン環が水素化されて飽和しているが、他方はベンゼン環のままで残っているので、脂肪族(脂環式化合物)と芳香族の両方の性質をもっている。石炭タール油中に含まれる。ナフタレンをニッケル触媒を用いて水素化しても得られる。この際強い条件(加圧・加熱)を用いるとデカリンを与える。またα(アルファ)-テトラロンの亜鉛アマルガムと塩酸によるクレメンゼン還元でも生成する。水に溶けず、一般の有機溶媒に溶ける無色液体。酸化すると無水フタル酸を与え、脱水素によってナフタレンを生成する。おもに油脂、脂肪、樹脂、ろうなどの溶剤となるほか、洗浄剤にも使われる。
[向井利夫]