インドネシア,スマトラ島北部のバリサン山脈中にある湖。インドネシア最大の湖で面積1260km2(琵琶湖の2倍弱)。典型的なカルデラ湖で,周辺にはシブアタン,ウールー・ダラット,シマヌクなど2000mをこえる火山がそびえる。湖面標高906m,最大深度529m。湖の中央にはサモシル島(長さ48km,幅16km)が細長く横たわる。トバ湖を中心とするバタク高原一帯はバタク族の居住地域で,かつて彼らはこの湖を神聖視し,外国人の接近を許さなかった。しかし20世紀に入ってから,バタク族の文化的発展と,高原の快適な気候,さらに美しい自然景観のため,北部スマトラ有数の休養地,観光地となった。プラパットやブラスタギはその中心として著名。メダン方面からの交通も便利になった。なお湖水は南東部からアサハン川となって東流,マラッカ海峡に入るが,水力発電を中心とするこの川の総合開発が日本の協力により進められている。
執筆者:別技 篤彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
インドネシア、スマトラ島北部のバリサン山脈にある大カルデラ湖。南北84キロメートル、東西24キロメートル、面積1460平方キロメートル。インドネシア最大の湖で琵琶(びわ)湖の2倍の広さがある。最大深度は903メートルで世界第8位、水面の標高は906メートル、透明度は11.5メートルである。湖中には600平方キロメートルの面積をもつサモシール島がほぼ南北に細長く横たわっている。湖畔には保養地のパラパット、北方の高原にはブラスタギがあり、国際的な観光地となっている。同湖からマラッカ海峡に流出するアサハン川は、日本の援助による電源開発が進められた。
[上野福男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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