カルデラ湖(読み)かるでらこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルデラ湖」の意味・わかりやすい解説

カルデラ湖
かるでらこ

カルデラcaldera(火山性の火口状凹地で直径が約2キロメートルより大きいもの)の全部ないしは大半に水をたたえた湖。湖盆を形成するカルデラは陥没によって生じることが多く、ほかに火山爆発や侵食などの成因も考えられている。カルデラ床のほとんどに湛水(たんすい)している場合をさし、カルデラの一部だけを占める火口原湖(例、榛名湖(はるなこ)・芦ノ湖(あしのこ))とは区別される。湖岸から急に深くなり、湖底が平坦(へいたん)で広いことは火口湖と同じで、面積のわりに深度は大きい。

 湖盆の形態は、秋田県の田沢湖やアメリカ合衆国のクレーター・レーク国立公園にあるカルデラ湖クレーター・レークのように円形のこともあり、中央火口丘の噴出のため北海道の摩周湖支笏湖(しこつこ)のように勾玉(まがたま)状をなしたり、湖底に火山島をもつため北海道の洞爺湖(とうやこ)のように環状となることもある。十和田湖は、カルデラと火山島や半島の火口とが連結したために湖岸線が不規則となった例である。日本の深い湖の大部分はカルデラ湖である。

[森 和紀]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルデラ湖」の意味・わかりやすい解説

カルデラ湖
カルデラこ
caldera lake

カルデラに湛水した湖沼。カルデラ湖の第1の特色は,非常に深い湖が多く,火口湖に比べてその規模もはるかに大きいことである。アメリカ合衆国オレゴン州にあるクレーター湖(→クレーターレーク国立公園)は最大水深 592mをもつアメリカ第1位の深湖である。日本では田沢湖(423m)をはじめとして,支笏湖(360m),十和田湖(327m),池田湖(233m),摩周湖(211m)など第5位までの深湖はすべてカルデラ湖である。第2の特色は,湖水栄養塩類に乏しく,プランクトン成育が貧弱な貧栄養湖が多いことである。しかしこのことは,透明度の高い澄んだ湖が多いということにも通じる。摩周湖の透明度は 20m前後で,ロシアのバイカル湖とともに世界で最も透明度の高い湖の一つである。

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