トムソン沸石(読み)とむそんふっせき(その他表記)thomsonite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トムソン沸石」の意味・わかりやすい解説

トムソン沸石
とむそんふっせき
thomsonite

沸石一種で、斜方柱状の結晶をなし、それらが放射状集合をすることが多い鉱物ソーダ沸石に似るが、結晶の断面長方形であるため区別できる。石英モルデン沸石などケイ酸分に富む鉱物とは共存しない。玄武岩アルカリ玄武岩の空隙(くうげき)に、方沸石、中沸石、ソーダ沸石、十字沸石魚眼石などと産する。また変質した塩基性岩中に脈をなして産することもある。日本のひすい輝石を主とする岩石中には、カルシウムよりストロンチウムの多いトムソン沸石thomsonite-Srも産する。この鉱物を分析したスコットランドの化学者トムソンThomas Thomson(1773―1852)にちなんで命名された。

松原 聰]


トムソン沸石(データノート)
とむそんふっせきでーたのーと

トムソン沸石
 英名    thomsonite
 化学式   NaCa2Al5Si5O20・6H2O
 少量成分  Sr
 結晶系   斜方
 硬度    5~5.5
 比重    2.3~2.4
 色     無,白,ピンク,黄
 光沢    ガラス~真珠
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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