日本大百科全書(ニッポニカ) 「方沸石」の意味・わかりやすい解説
方沸石
ほうふっせき
analcime
沸石の一種。普通、偏菱(りょう)二十四面体あるいはそれに六面体が加わった結晶形を示すが、塊状のこともある。ワイラケイ沸石とは肉眼的に区別できないが、石英と共存している場合にはたいていワイラケイ沸石である。塩基性火山岩や凝灰岩の空隙(くうげき)にソーダ沸石、トムソン沸石、魚眼石などと産する。また、超塩基性岩に伴う塩基性火成岩中に脈をなし、ぶどう石、ソーダ沸石、トムソン沸石などと共生する。また、沸石岩を構成したり、それを切る脈中にも産する。ほかに、化石を交代したり、スカルン中に脈をなしたり、霞(かすみ)石閃長(せんちょう)岩ペグマタイト中に巨晶を産したりする。熱や摩擦を加えたときの電気的性質が弱いので、英名は、弱いという意味のギリシア語に由来する。
[松原 聰]