マーク・トウェーンの代表的な少年冒険小説。1876年刊。学校や教会など窮屈な田舎町の生活を嫌って,仲間の浮浪少年ハック・フィンなどと大自然の中で自由に遊びまわり,冒険を重ねるトム・ソーヤーの生活が,会話を多く用いた軽快な文体で描かれている。その冒険の多くは少年時代の作者の体験に基づいており,文明に汚染される以前のアメリカ南西部の自然や,開拓時代の純朴な人間関係に対するアメリカ人の郷愁を感じさせるが,同時に,有名なフェンスのペンキ塗りの場面のように,少年特有の心理を鋭くとらえており,あらゆる時代のあらゆる国の若い読者に愛読される普遍的な魅力をもつ。日本には,1919年(大正8),佐々木邦が最初に紹介して以来,数多くの翻訳が現れ,マーク・トウェーンだけでなく,アメリカ文学全体で,最も広く親しまれている作品の一つとなった。
執筆者:渡辺 利雄
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…今日,同市の川沿い公園には巨大なアーチGateway Archが建てられ,開拓時代の記念碑となっている。州北東部のミシシッピ河畔の町ハンニバルは,マーク・トウェーンが少年時代を過ごし,《トム・ソーヤーの冒険》の舞台となった町である。ミズーリは古くから小麦,トウモロコシ,綿花の栽培地として知られてきたが,近年は大豆(全米5位,1980)の産地として重要である。…
※「トムソーヤーの冒険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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