改訂新版 世界大百科事典 「トラシュブロス」の意味・わかりやすい解説
トラシュブロス
Thrasyboulos
前600年ころのイオニアのミレトスの僭主。生没年不詳。プリュタニスという要職を利用して僭主になり,リュディア王アリュアッテスの攻撃をしのぎ,ミレトス市の独立を保った。そして神殿を造り,交易を広げ,植民市を建てた。このとき市の勢いは頂点に達した。またコリントスの僭主ペリアンドロスPeriandrosと深い政治的な友好関係を結んだが,これによって両市の交易活動は促されていったと思われる。トラシュブロスがペリアンドロスに治政の極意を問われ,それに,よく伸びた麦の穂をちぎるという無言のしぐさで答え,それをペリアンドロスは,有力者の粛清と解したという話をヘロドトスが《歴史》に伝えている。
執筆者:安藤 弘
トラシュブロス
Thrasyboulos
生没年:?-前388
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報