日本大百科全書(ニッポニカ) 「トローリング」の意味・わかりやすい解説
トローリング
とろーりんぐ
trolling
引き釣りともいい、船を走らせながら餌(えさ)か擬餌鉤(ぎじばり)を引いて、それが小魚が泳いでいるように見せかけて、中・大形魚を釣る方法の一つ。また、海岸などから擬餌鉤を投げ、リールなどでゆっくり手前に引き寄せながら釣ってもいい。対象魚はカジキ、マグロ、ブリ、カツオ、シイラなど多種にわたる。海岸からはカツオ類、スズキ、ヒラメなどが釣れる。アメリカ、ニュージーランドなどの各国では、トローリングはゲーム・フィッシングとして盛んで、竿(さお)、リール、釣り糸に等級を設け、その等級内でいかに大きな魚を釣り上げるかを競う競技団体が結成されており、その国際的な組織に、IGFA(International Game Fish Association国際釣魚協会)がある。IGFAは1939年にアメリカで誕生。釣りの研究はもとより、魚貝類、海洋動物の採集・研究が主たる目的だが、釣った魚録の認定も行う。その対象魚は60種に近く、IGFA加盟は個人が約9000人、釣り会約1000、加盟国は55か国を超える。本部はアメリカのフロリダ州に置かれている。
典型的なトローリング用ボートは、船長35フィート前後、100~150馬力ディーゼルエンジン、ベッド、トイレット付きで、船尾にファイティング・チェア1、2基がついている。3~6ノットのスピードで、潮目やとりやま(鳥の群れ)を目標に餌を引く。ボラ、トビウオなどの魚が餌として使われるが、多くはフェザージグやタコ、イカなどをかたどったビニル・ベイトなどの擬餌鉤が広く用いられる。
[松田年雄]