ナンテンハギ(読み)なんてんはぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナンテンハギ」の意味・わかりやすい解説

ナンテンハギ
なんてんはぎ
[学] Vicia unijuga A.Braun

マメ科(APG分類:マメ科)の多年草別名タニワタシ。葉は1対の小葉からなる。小葉は卵形または披針(ひしん)形。6~10月、葉腋(ようえき)に有柄の総状花序を出し、青紫色の蝶形花(ちょうけいか)を10個以上つける。小花柄の基部に披針形の小さな包葉があるが、開花前に脱落する。豆果(とうか)は狭楕円(きょうだえん)形で長さ約3センチメートル。種子球形で、3~7個ある。日本各地の山野に生え、朝鮮半島、中国、樺太(からふと)(サハリン)、シベリア東部に分布する。よく似たミヤマタニワタシは関東・中部地方の山地の林下に生える。茎は節ごとにジグザグに曲がり、包葉は卵形で大きく、宿存する。

[立石庸一 2019年10月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナンテンハギ」の意味・わかりやすい解説

ナンテンハギ(南天萩)
ナンテンハギ
Vicia unijuga

マメ科の多年草。フタバハギ,タニワタシの別名もある。日本各地の山麓草地原野に普通に生える。草丈は 30~60cm,茎は直立または斜めに立ち,細いが明らかな稜がある。葉は互生し,2枚1対の長楕円形または披針形の小葉から成り,巻きひげはない。葉柄基部の両側腎臓形で先のとがった托葉が目立つ。夏から秋にかけて,葉腋に長さ2~4cmの総状花序を伸ばし,長さ 12mmほどの美しい紅紫色の蝶形花を多数つける。若葉をゆでて食べる。ナンテンの小葉に似た感じがあるところからこの名がある。

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