ニジキジ(その他表記)Lophophorus impejanus; Himalayan monal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニジキジ」の意味・わかりやすい解説

ニジキジ
Lophophorus impejanus; Himalayan monal

キジ目キジ科。全長 63~72cm。ネパール国鳥。大型で,雄の背面が虹色に輝いて美しい。基部は羽軸だけで先端は房状になった冠羽(→羽冠)があり,顔は目先が黒く,その他が緑色で,眼のまわりには羽毛がない。後頸は赤褐色,背上部はオリーブ緑色,その後方の背と雨覆が青紫色で,各羽毛の先が水色。腰は白く,上尾筒と腹面の頸から胸,腹は黒い。尾は淡い赤褐色。雌は喉が白く,羽色は褐色だが,背面は暗色の,腹面は白い棒状のまだら模様がある。アフガニスタン東部からブータンにかけてのヒマラヤ地方と,インド北部やチベットに及ぶ標高 2100~4500mの高地にすむ。生息環境は森林から夏季には高地草原に及び,地上に巣をつくる。立てるのは尾羽だが,雄の求愛行動クジャクに似ている。子育ては雌が行なうが,雄は巣やを守る行動を見せる。日本には飼鳥として輸入され,動物園などで飼われている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニジキジ」の意味・わかりやすい解説

ニジキジ
にじきじ / 虹雉
monal pheasant

広義には鳥綱キジ目キジ科ニジキジ属に含まれる鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この属Lophophorusには3種があり、全長約70センチメートル、キジ類としては尾が短いが、羽色は名のとおり多彩である。ヒマラヤからチベット、ミャンマービルマ)の山岳森林にすみ、おもに地上を歩きながら草の種子や根、昆虫などをとって食べる。5、6月の繁殖期になると、雄は尾を広げて立て、クジャクのようなディスプレーをする。地上に簡単な皿形の巣をつくり、5~6個の卵を産む。抱卵や育雛(いくすう)は雌だけが行う。秋から冬にかけては、数羽の群れで生活していることが多い。警戒心が非常に強く、観察は容易ではない。動物園などで飼われることがある。

 種としてのニジキジL. impeyanusはヒマラヤにすみ、この類のなかではもっとも広い分布域をもつ。

[樋口広芳]


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