日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニナ」の意味・わかりやすい解説
ニナ(メソポタミア神話)
にな
Nina
メソポタミア神話の水流、運河の女神。しばしばナンシェとよばれ、エシュハンナ、エシュハラの名でも知られていた。シュメールのエリドゥ市の水神エアの娘ともいわれ、竜あるいは水蛇の姿がシンボル。この女神を示す楔形(くさびがた)文字の原型は水中に魚がいるところを表していると思われる。ニナは本来この名の都市の守護女神であったが、この都市の所在についてはいろいろの論議があり、南メソポタミアのラガシュ市(シュメール主要都市の一つ)、あるいは北メソポタミアのニネベ(後代のアッシリアの首都)とのつながりをいう学者もいる。
[矢島文夫]