翻訳|nekton
河川・湖沼・海洋など水域の生物の生活形による分類で、水中を自由に遊泳して生活する生物の総称。遊泳生物ともいう。頭足類のイカ、ほとんどの魚類、爬虫(はちゅう)類のウミガメやウミヘビ、哺乳(ほにゅう)類のクジラやイルカなどの比較的高等な動物によって構成されている。いずれも成体と、ある程度以上成長が進んだ段階からをネクトンとして、幼生期はプランクトンなどとして過ごすものが多い。食物連鎖では上位置を占め、漁獲量が多く、陸水・海水を通じ水圏の生物資源ではもっとも重要な群集である。ネクトンは遊泳力のあることが特徴で、産卵・出産と摂餌(せつじ)・成長のために大回遊する生物が多い。サケは成長期の大部分を海洋で過ごし、産卵のため河川をさかのぼる。ヒゲクジラ類は繁殖を冬季に赤道付近で行い、夏季には餌(えさ)が豊富な高緯度海域へ回遊する。植物にはネクトンに該当する生物はない。
[佐野 昭・高橋正征]
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…海の生物の中には,顕花植物のアマモや,哺乳類のクジラ,アザラシ類などのように,陸上で進化したグループが,再び海に生活の場を求めて適応進化したものもいる。
[海の生態学]
海の生物の生活型は,大きくプランクトンplankton(浮遊生物),ベントスbenthos(底生生物),ネクトンnekton(遊泳生物)の三つに区別される。プランクトンは,海水中に浮遊して生活し,自らの能力で移動しないものを指し,ネクトンは,強い遊泳能力をもって水中で生活するもので魚類や,イカ・タコの類,エビ類,それに水生哺乳類などが含まれる。…
…最も深い所まで生育する沈水植物は,光合成の補償点光度が低いシャジクモとフラスコモで,その分布帯が沿岸帯の下限になる。 沖帯は湖容積の大部分を占める沖合の水体部分で,水中を浮遊して生きているプランクトン(浮遊生物)と,遊泳生活をするネクトン(遊泳生物)とが主要生物群である。プランクトンは,一生浮遊生活をする植物プランクトン,動物プランクトンの2群に大きく分けられる。…
…ろ過食者ともいう)という類型がある。 生活型として最もよく使われるのは,水中生物についてのプランクトンplankton(浮遊生物),ネクトンnekton(遊泳生物),ベントスbenthos(底生生物)という類型であろう。これは呼び名の示すとおり,生物の遊泳能力にもとづく生活型分類である。…
…自分自身に移動力がまったくないか,あってもひじょうに弱く,水の動きに逆らって移動せず,水中に浮遊して生活している生物群集と定義される。水圏の生物群集を生態的に区分するとき,水中を自由に遊泳するネクトンnekton(遊泳生物),海底と接触して生活するベントスbenthos(底生生物)と対比する語として用いられる。プランクトンは大部分が数μmから数cmの小型の生物であり,顕微鏡を用いなければ体の構造はもちろん,その存在さえ確認できないような微細な種類が多いが,傘の径が1mを超すエチゼンクラゲもプランクトンとして扱われる。…
※「ネクトン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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