ネクトン(読み)ねくとん(英語表記)nekton

翻訳|nekton

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネクトン」の意味・わかりやすい解説

ネクトン
ねくとん
nekton

河川湖沼・海洋など水域の生物の生活形による分類で、水中を自由に遊泳して生活する生物の総称遊泳生物ともいう。頭足類のイカ、ほとんどの魚類爬虫(はちゅう)類のウミガメウミヘビ哺乳(ほにゅう)類のクジライルカなどの比較的高等な動物によって構成されている。いずれも成体と、ある程度以上成長が進んだ段階からをネクトンとして、幼生期はプランクトンなどとして過ごすものが多い。食物連鎖では上位置を占め、漁獲量が多く、陸水・海水を通じ水圏の生物資源ではもっとも重要な群集である。ネクトンは遊泳力のあることが特徴で、産卵・出産と摂餌(せつじ)・成長のために大回遊する生物が多い。サケは成長期の大部分を海洋で過ごし、産卵のため河川をさかのぼる。ヒゲクジラ類は繁殖を冬季に赤道付近で行い、夏季には餌(えさ)が豊富な高緯度海域へ回遊する。植物にはネクトンに該当する生物はない。

[佐野 昭・高橋正征]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネクトン」の意味・わかりやすい解説

ネクトン
nekton

遊泳生物ともいう。水生動物うち自由に遊泳する力をもっているものの総称で,魚類やエビあるいはクジラやイルカなどまでを含む。受動的な浮遊をおもな運動方式とするプランクトンとともに水中の生物群集を構成する。

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