ネジキ(その他表記)Lyonia ovalifolia (Wall.) Drude var.elliptica (Sieb.et Zucc.) Hand.-Mazz.

改訂新版 世界大百科事典 「ネジキ」の意味・わかりやすい解説

ネジキ (捩木)
Lyonia ovalifolia (Wall.) Drude var.elliptica (Sieb.et Zucc.) Hand.-Mazz.

山地日当りのよい所に生え,岩地を好むツツジ科の落葉小高木。幹がねじれているので,捩木の名がある。幹は直立して高さ5~6mになる。葉は卵形で先がとがり,長さ4~12cm,幅3~7cmで,鋸歯はない。6月,前年の枝の葉腋(ようえき)から細長い花序を伸ばし,白色で筒形の花が1列に並んで下向きに開く。花冠の先は浅く5裂し,花筒内に10本のおしべがある。葯は背面下部に2本の角状突起があり,先端が開孔する。蒴果(さくか)は扁球形で径4mm,5裂する。本州の岩手県以南,四国九州に分布する。基本変種L.ovalifolia(Wall.)Drudeは中国からヒマラヤに分布し,全体が大型である。材が堅く緻密(ちみつ)なので,櫛(くし)や傘の柄などの細工物に用い,これから作った木炭漆器をみがくのに用いる。アセビと同様,ウシやウマには有毒といわれているが,まれに皮膚病などに用いられる。

 ネジキ属Lyoniaはアセビ属に近縁で,約30種があり,北アメリカから中央アメリカとヒマラヤから東アジアに隔離分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネジキ」の意味・わかりやすい解説

ネジキ
ねじき / 捩木
[学] Lyonia ovalifolia Drude var. elliptica (Sieb. et Zucc.) Hand.-Mazz.
Lyonia ovalifolia Drude subsp. neziki (Nakai et Hara) Hara

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の落葉低木または小高木。高さ5~8メートル。幹がねじれるのでネジキの名がつけられた。小枝冬季赤色を帯び、目だつ。葉は広卵形で長さ5~12センチメートル、先はとがり、全縁、裏面葉脈に白毛がある。5~6月、下部に小さな葉をつけた長さ約5センチメートルの総状花序をつくり、白色花を下向きに列をなして開く。花冠は筒状壺(つぼ)形で長さ0.8~1センチメートル、先は浅く5裂し、短毛がある。雄しべは10本。果実は小球形の蒴果(さくか)で上を向く。やや乾いた山地に生え、岩手県以西の本州から九州に分布する。枝葉は有毒である。赤色で美しい冬枝を挿し花に用いる。材は赤褐色を帯びて緻密(ちみつ)で堅く、木曽(きそ)のお六櫛(ろくぐし)の材料にする。

 ネジキ属はヒマラヤから東アジア、北アメリカに約30種分布する。

[小林義雄 2021年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネジキ」の意味・わかりやすい解説

ネジキ(捩木)
ネジキ
Lyonia ovalifolia

ツツジ科の落葉低木または小高木。アジア東部の温帯に分布する。日本では本州,四国,九州の山地の日当りのよいところに生える。幹がねじれるところからこの名がある。葉は互生し,柄があって長さ4~12cmの長卵形,葉の両面に伏毛がある。日本のものは大陸のものに比して葉が小さく,変種または亜種とすることもある。5~6月に,4~6cmの総状花序を伸ばして,白い壺形の小花を下向きに並べてつける。

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百科事典マイペディア 「ネジキ」の意味・わかりやすい解説

ネジキ

ツツジ科の落葉低木〜小高木。本州〜九州の山地にはえる。幹はねじれたように見え,高さ2〜5m。葉は長さ6〜10cm,卵状楕円形で先はとがる。6〜7月,前年枝に総状花序を側生し,アセビに似た白色壺形の小花を開く。葉にはアセビに似た有毒成分がある。

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世界大百科事典(旧版)内のネジキの言及

【寝間】より

…江戸時代の民家で,家長の夫婦や幼児の就寝に使われた部屋の呼称。〈なんど〉〈おく〉〈へや〉などとも呼ばれ,特殊な呼称に〈ちょうだ〉〈ねどこ〉〈ねじき〉などがある。部屋の形状は,江戸時代前半までは三方を壁で閉ざし,入口の敷居を20cmほど高くし,半分を壁にして板戸を1枚引き込み,外から施錠できるようになっているものもある。…

※「ネジキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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