日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノキシノブ」の意味・わかりやすい解説
ノキシノブ
のきしのぶ / 軒忍
[学] Lepisorus thunbergianus (Kaulf.) Ching.
ウラボシ科の常緑性シダ。ヤツメランともいい、耐乾性が強い。短くはう根茎から、細長く先端の鋭い単葉を密に生ずる。中脈を挟んで円形の胞子嚢(のう)群が2列に並ぶ。古い根茎には丸く浅い凹所が多数あるが、これは葉の落ちた跡である。全国に分布しており、市街地の石垣、かや葺(ぶ)き屋根、樹幹をはじめ、山地の岩上などに着生する。中国をはじめ東南アジア、インドなどに広く分布する。中国の浙江(せっこう)省では、咳(せき)による吐血の民間治療薬として使われる。深山の樹幹や岩上には、よく似たミヤマノキシノブL. ussuriensis var. distansがあるが、鱗片(りんぺん)が少ないことと葉柄があることで区別がつく。ヒメノキシノブL. onoeiもノキシノブに似るが、葉先があまりとがっていない。
[栗田子郎]