日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノボタン」の意味・わかりやすい解説
ノボタン
のぼたん / 野牡丹
[学] Melastoma candidum D.Don
ノボタン科(APG分類:ノボタン科)の常緑低木。小笠原諸島、奄美(あまみ)大島以南からベトナムに分布する。高さ約2メートル。若い枝は四角形で、灰白色の軟毛がある。葉は対生し楕円(だえん)形で、長さ5~10センチメートル、先はとがり、3~5本の平行脈がある。夏、枝先に集散花序をつけ、径約7センチメートルの淡紫色花を3~7個開く。花弁は5枚で回旋状に並ぶ。雄しべは10本、うち2本の葯(やく)は紫色で大きく、長さ1センチメートルで鎌(かま)状に曲がる。残り8本はやや小さく黄色。鉢物として温室内で栽培される。果実は壺(つぼ)状の液果で、食べられる。本種によく似ているシコンノボタンは秋から翌春に花を開き、葯は紫色で長く、鎌形に湾曲する。中南米が原産で、園芸植物として流通している。
[植村猶行 2020年8月20日]