日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハウステンボス」の意味・わかりやすい解説
ハウステンボス
はうすてんぼす
Huis Ten Bosch
長崎県佐世保(させぼ)市にある中世オランダの街並みをモチーフにしたテーマパーク。ハウステンボスはオランダ語で「森の家」の意味。バブル経済期に構想が浮上し、1992年(平成4)に開業した。ハウステンボス株式会社が運営する。テーマパークとして国内最大の152ヘクタールの敷地に、展望塔、庭園、運河、マリーナ、ハーバー、遊戯・アスレチック施設、ホテル、レストランなどを整備。花、光、ゲーム、音楽、アニメなどを切り口にしたアトラクションやチューリップ祭、100万本のバラ祭、世界花火師競技会、光の街のクリスマスなどの催しを季節ごとに開催し、ドラマ、映画、CMなどのロケ地としても頻繁に使用されている。
1997年に年間入場者数380万人を記録したが、入場者数の伸び悩みや借入金の返済負担で2000年(平成12)前後から経営危機に陥り、2003年に会社更生法の適用を受けた。その後、野村ホールディングス系投資会社の支援を経て、2010年に旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)の傘下に入り経営を再建し、2011年に初めて黒字化する。2015年には恐竜型ロボットなどがフロントで出迎える「変なホテル」を開業し、話題を集めた。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行で2020年(令和2)、ふたたび赤字に陥り、2022年、香港(ホンコン)の投資会社PAGの傘下に入り、再度、経営再建に取り組んでいる。長崎県はハウステンボスの一部と隣接地を候補地に、カジノ中心の統合型リゾート(IR)の誘致を進めており、政府の認定を受けたうえで、2027年度の開業を目ざしている。2020年10月~2021年9月期の入場者数127万人、売上高114億4000万円。
[矢野 武 2023年1月19日]