ハヌマンラングール(読み)はぬまんらんぐーる(英語表記)Hanuman langur

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハヌマンラングール」の意味・わかりやすい解説

ハヌマンラングール
はぬまんらんぐーる
Hanuman langur
[学] Presbytis entellus

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科の動物。名前はインド叙事詩ラーマーヤナ』の神猿ハヌマンに由来する。ヒマラヤ山系以南のインド亜大陸全域とスリランカに分布し、多様な環境に適応している。ほっそりとした体格をもち、成獣の体毛は灰色なのでハイイロヤセザルともいう。体長70センチメートル、尾長100センチメートルになる。新生子の顔はピンクで体毛は黒い。食物は木の葉が主食である。個体群密度が高い地域では15~25頭の単雄群が多く、密度が低い地域ではより大型の複雄群が多くみられる。前者の場合、群れは4、5年に1回の割合で、群れに所属しない雄によって乗っ取られ、そのとき、乗っ取りに成功した雄は、群れの赤ん坊を全部かみ殺すという子殺しが知られている。

[川中健二]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハヌマンラングール」の意味・わかりやすい解説

ハヌマンラングール
Presbytis entellus; Hanumān langur

霊長目オナガザル科。体長 75cm,尾長 90cm内外。体はほっそりしており,四肢も細長い。顎が突き出ている。体は灰白色で,顔,四肢が黒い。植食性で,おもに木の葉を食べる。1頭の雄と複数の雌および子から成る 20~30頭の群れで生活し,あぶれた雄は雄グループをつくる。動作は敏捷で,木登り,地上の歩行ともにうまい。インドでは雌ウシとともに,神に仕える神聖な動物として大切にされ,寺院などでよく見かける。インド,スリランカに分布する。

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