鷹匠(読み)たかじょう

精選版 日本国語大辞典 「鷹匠」の意味・読み・例文・類語

たか‐じょう ‥ジャウ【鷹匠】

〘名〙
① 鷹を捕獲飼養する人。また、その鷹を売る人。鷹飼い。鷹すえ。
古本説話集(1130頃か)六四「観音経変化虵身輔鷹生事」
朝廷将軍家大名などに仕えて、鷹を飼育訓練し、鷹狩に従事した特定の人々。鷹飼い。鷹師鷹使。→鷹狩。《季・冬》
尺素往来(1439‐64)「鷹掌者若殿上人、不貴賤、蘇芳衫、錦帽子、付餌袋。居鷹而騎馬」
③ 宮内省主猟寮の職員。鷹師を助けるもの。判任官待遇。
※宮内省令第三号‐明治四〇年(1907)一一月一日「鷹匠は八人判任待遇とす鷹師を助く」
④ 「たかじょうずきん(鷹匠頭巾)」の略。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕

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デジタル大辞泉 「鷹匠」の意味・読み・例文・類語

たか‐じょう〔‐ジヤウ〕【×鷹匠】

鷹を飼育・訓練し、鷹狩りに従うことを職とした人。鷹飼い。鷹師。 冬》
もと宮内省式部職に属し、鷹師を補佐した職員。
[類語]猟師狩人ハンター猟人

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改訂新版 世界大百科事典 「鷹匠」の意味・わかりやすい解説

鷹匠 (たかじょう)

放鷹(ほうよう)(鷹狩)に使う鷹の飼育・訓練を担当する人,江戸幕府諸藩の職制。放鷹の慣習の日本への伝播は4世紀の中ごろといわれているが,このさい鷹匠も専門の技術職として成立したと考えられる。江戸時代になり,鷹匠は慶長年間(1596-1615)に幕府の職制として位置づけられ,1681年(天和1)には116名を数えた。その後生類憐みの令発布にともない漸次減少,96年(元禄9)10月廃職となった。1716年(享保1)8月徳川吉宗による放鷹制の復活により鷹匠職も復活,40名余の定員で幕末まで至る。鷹匠らを統轄するのが鷹匠頭(2名)で,1000石以上の大身の旗本が任命されたが,鷹匠は500石以下の小身の旗本が多かった。しかし,高度に専門化された技術職であったため世襲性が強く,将軍との独特のつながりをもつ者もいた。1866年(慶応2)鷹場制度の廃止にともない職制としては消滅した。
鷹狩
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百科事典マイペディア 「鷹匠」の意味・わかりやすい解説

鷹匠【たかじょう】

公家武家に仕え,鷹狩(たかがり)(放鷹(ほうよう))に使う鷹の飼育・訓練を行い,また鷹狩に従事する。江戸時代には幕府・諸藩の職制として位置付けられ,幕府では若年寄(わかどしより)配下,鷹匠頭を除いては小身の旗本が任じられた。生類憐みの令発布に伴い一時廃絶したが,1716年徳川吉宗(とくがわよしむね)によって復活。明治維新後は宮内省式部職猟場係の管理下となった。
→関連項目鷹場

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鷹匠」の意味・わかりやすい解説

鷹匠
たかじょう

江戸時代,幕府や諸藩に設けられた職名。幕府では若年寄の支配下にあって,鷹の飼養,調練,鷹狩の一切を司った。

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