日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイアグラ」の意味・わかりやすい解説
バイアグラ
ばいあぐら
Viagra
アメリカのファイザー社が1998年発売した性的不能治療薬の商品名。3か月で300億円と史上最高の売上げを記録、わずか1年足らずで約50か国で認可された。もともとは心臓病薬として開発されたが、男性のペニスの勃起(ぼっき)作用が注目され、生活改善薬に転換した。バイアグラは、ペニスの血流をおさえる酵素のはたらきをおさえ、ペニスの血管を拡張する。しかし勃起効果の半面、ニトログリセリンなど心臓病薬との併用者が死亡するなど副作用による事故もおこっており、問題視する声もある。また、医療費の高騰をまねくと、アメリカの民間医療保険会社やHMO(会員制健康保険団体)が保険での支払いを拒否する動きが広がっている。日本の薬事法(現、医薬品医療機器等法)では、外国の薬を自分が使う1か月分程度購入することは禁じていないため、個人輸入の横行や、代行業者が輸入販売を行うといった事態が生じ、問題視した厚生省(現、厚生労働省)は1999年(平成11)1月に医療用医薬品として承認、同年3月より国内販売が開始された。服用には医師の処方箋(しょほうせん)が必要であり、また医療保険は適用されない。
[田辺 功]