バイバルス(読み)ばいばるす(その他表記)Baybars Ⅰ

デジタル大辞泉 「バイバルス」の意味・読み・例文・類語

バイバルス(Baybars)

[1228ころ~1277]マムルーク朝第5代のスルターン在位1260~1277。モンゴル軍・十字軍戦い王朝基礎を固めた。アラブ英雄譚バイバルス物語」の主人公

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精選版 日本国語大辞典 「バイバルス」の意味・読み・例文・類語

バイバルス

  1. ( Baybars ) エジプトマムルーク朝第五代のスルタン(在位一二六〇‐七七)。モンゴル軍・十字軍と戦い、王朝の基礎を固めた。アラブの英雄譚「バイバルス物語」の主人公。(一二二八頃‐七七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイバルス」の意味・わかりやすい解説

バイバルス(1世)
ばいばるす
Baybars Ⅰ
(1223―1277)

エジプトを中心としたバフリー・マムルーク朝の第5代スルタン(在位1260~77)。キプチャク出身のトルコ人奴隷で、アイユーブ朝に仕え、1250年マンスーラの戦いでフランスのルイ9世を捕らえて勇名をはせ、60年にはモンゴル軍をアイン・ジャールートの戦いで撃破したのち、マムルーク朝のスルタン、クトゥズを殺して即位した。17年間の治世に38回のシリア遠征を行い、対十字軍戦争では、アンティオキアなど諸都市を攻略し、十字軍を地中海沿岸に追い詰め、またイスマーイール派要塞(ようさい)をはじめ、北はカエサリア(アナトリア半島中部)まで攻略し、南はヌビアに派兵した。アッバース朝カリフをカイロに擁立し、ヒジャーズ(アラビア半島の紅海沿岸)に勢力を伸長した。外交関係に力を入れると同時に、駅逓(えきてい)(バリード)の整備、港湾、城塞の建設など内政を整備し、マムルーク朝の基礎を築いた。彼の生涯は物語となり、広く西アジアで伝えられている。

[菊池忠純]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイバルス」の意味・わかりやすい解説

バイバルス
Baybars al-Bunduqdārī

[生]1223
[没]1277.7.1. ダマスカス
エジプト,バフリ・マムルーク朝第4代のスルタン (在位 1260~77) 。サラディンと並ぶ中世イスラム世界の英雄。キプチャク族出身のトルコ系マムルーク (奴隷) で,マンスーラの戦いに十字軍のルイ9世を捕虜としてから頭角を現し,第3代スルタン,クトゥズの将軍となり,1260年侵入したモンゴル軍を撃退したのちクトゥズを殺してみずからスルタンとなった。内政面では軍隊や駅逓の制度 (カイロ-ダマスカス) を整備すると同時に,アッバース朝のカリフの子孫を名目上のカリフとしてカイロに擁立したことにより,イスラム世界におけるバフリ・マムルーク朝の宗主権を確立した。また外政面では 17年間の治世中に 38回に及ぶシリア遠征を試み,またリビアとヌビア方面へも遠征を行なった。彼を主人公とする『バイバルス物語』は広くイスラム世界で愛好されている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バイバルス」の解説

バイバルス
Baybars

1233?~77(在位1260~77)

マムルーク朝の第5代君主。アイユーブ朝君主サーリフのマムルークであったが,その死後クーデタに参加しマムルーク朝の建設に荷担。スルタンに就任後は,シリアの十字軍都市の多くを奪還するなど,十字軍やモンゴルに対して顕著な成果をあげた。国力の充実を図り,事実上マムルーク朝の基礎を築いた。その姿はアラブの著名な民間説話『バイバルス伝』に生き続けている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「バイバルス」の解説

バイバルス
Baibars al-Bunduqdāri

1223〜77
エジプトのマムルーク朝の第5代スルタン(在位1260〜77)
もとトルコ系のマムルーク(奴隷軍人)。才能を認められて将軍となり,1260年フラグの派遣したモンゴル軍をアイン−ジャールートの戦いで撃破してスルタンの地位を奪った。また,アンティオキアなどの十字軍の拠点や,北アフリカのベルベル人を征服した。そのほか,運河や駅伝制の整備,モスクなどの造営に功績が多く,それをたたえた伝記が広く民衆に親しまれて,アラブ世界ではサラディンをしのぐほどの人気者となっている。

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