日本大百科全書(ニッポニカ) 「バドリオ」の意味・わかりやすい解説
バドリオ
ばどりお
Pietro Badoglio
(1871―1956)
イタリアの軍人、政治家。第一次世界大戦末期に陸軍参謀長代理として軍の再建に功績をあげ、戦後参謀長になり(1919~1921)、その後元帥に昇任(1926)。ファシズム体制下で陸軍参謀長(1925~1927)、統合参謀本部長官(1927~1940)を務める。この間ブラジル大使(1923~1925)、リビア総督(1928~1933)を歴任し、エチオピア遠征に総司令官として参加(1935~1936)、勝利のすえエチオピア総督になる(1936)。エチオピア侵略に対してもスペイン内戦への介入にも個人的には批判的であったバドリオは、第二次世界大戦へのイタリアの参戦に最初反対した。しかし1940年6月の参戦とともに総司令官になり、ギリシア作戦の失敗後、同年12月辞任。1943年7月国王と共謀して反ムッソリーニ・クーデターを起こし、臨時政府を樹立して同年9月連合国に無条件降伏した。翌1944年6月連合軍によるローマ解放まで首相の地位にあった。
[重岡保郎]