日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボノーミ」の意味・わかりやすい解説
ボノーミ
ぼのーみ
Ivanoe Bonomi
(1873―1951)
イタリアの政治家、保守的改良主義者。マントバ出身の弁護士であったが、19世紀末、郷里の政治闘争に参加するうちに社会党に入党し、同党機関紙『アバンティ(前進)』や社会主義的理論誌『クリティカ・ソチャーレ(社会批評)』の協力者になり、まもなく改良主義の立場に近づいた。彼の著書『社会主義の新しい道』Le vie nuove del socialismo(1906)はこの立場を理論的に解明したものである。1912年のレッジョ・エミリアの党大会でリビア戦争是認の理由から除名処分を受け、同じく除名されたビソラーティLeonida Bissolati(1857―1920)とともに改良主義社会党を結成した。第一次世界大戦中から戦後にかけて幾度も閣僚の地位を経験し、自由主義国家の危機の最中に首相を務めた(1921~1922)が、ファシズムに対して策謀的態度をとった。ファシズム体制下では政界から退いて著述活動に専念した。しかし1942年以降イタリアの軍事的敗色と体制の崩壊が明らかになると政治活動を再開し、王家と反ファシスト諸党の双方の代表と接触を保ち、1943年7月の王家のクーデター以後、反ファシスト諸党とバドリオ政府の交渉の窓口となった。ローマにおける国民解放委員会議長の地位を利用して解放運動の革命的発展を抑制し、バドリオから首相の座(1944~1945)を引き継いだあとも同様であった。第二次世界大戦後パリ平和会議のイタリア代表、制憲議会議員、終身上院議員、共和国初代上院議長を務めた。
[重岡保郎]