バンクシア(読み)ばんくしあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンクシア」の意味・わかりやすい解説

バンクシア
ばんくしあ
[学] Banksia

ヤマモガシ科(APG分類:ヤマモガシ科)バンクシア属の総称。半耐寒性の高木または低木オーストラリア原産。葉は、縁(へり)に深い鋸歯(きょし)があるものや波状のもの、表面は緑色裏面に銀白色の綿毛が密生するもの、羽状分裂形のものなど、種々の形がある。開花期は春から初夏が多く、花もちは長い。花は頂生または腋生(えきせい)し、原産地では地上1メートルくらいから着生する。花穂は長さ10~30センチメートル、太さ5~9センチメートル。花色は橙(だいだい)、黄、赤、紫色などがある。夏季は高温多湿を嫌うので、とくに排水のよい用土を使用する。冬季は2~3℃を維持する。繁殖は実生(みしょう)がよく、挿木は困難である。

[吉次千敏 2020年4月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バンクシア」の意味・わかりやすい解説

バンクシア
Banksia; banksia

ヤマモガシ科の低木または高木。オーストラリアに 73種が分布するが,そのほとんどがオーストラリア固有種。枝が匍匐するように伸びる種類もある。葉形は多様であるが,鋭い鋸歯や切れ込みが入るものが多い。小さな花が多数穂状に集って,円柱形や球形円錐形花序を枝先に頂生する。オーストラリアは自然発火による山火事が起きやすいことで知られるが,種によっては,火事の熱によって果実が裂開して初めて種子をこぼす性質があり,自然環境に合った独特の仕組みで知られる。オーストラリアから切り花が輸入され,珍しい花容なため人気がある。

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