日本大百科全書(ニッポニカ) 「パピーニ」の意味・わかりやすい解説
パピーニ
ぱぴーに
Giovanni Papini
(1881―1956)
イタリアの作家、評論家、詩人、編集者。『レオナルド』誌を創刊(1903)。国家主義的刊行物『王国』の編集長。『声』誌の寄稿者。前衛誌『ラチェルバ』を創刊(1913)し、未来派を擁護したが、のちこの運動から脱退する。若いころは戦闘的無神論者で、第一次世界大戦後、カトリック教への回心を表明する(『キリストの生涯』1921)。物語、詩のほか、哲学、歴史、宗教など広い分野にわたる著作活動をきわめて野心的に行った。また逆説と風刺と情熱に満ちた論争家の一面もある。『哲学者たちのたそがれ』(1906)では19世紀の主要思想家を不確実性のゆえに批判し、『失敗者』(1912)ではあまりに多くの事を企てて失敗した自己の経歴を語り、『生けるダンテ』(1933)ではきわめて人間的なダンテ像を描く。ファシズム時代にはその政策にくみした。
[佐藤三夫]
『宮崎信彦訳『生けるダンテ』(1949・日本書院)』