イタリアの作家。フィレンツェの質素なプチブルの家に生まれ,代表作の自伝的小説《終わった男》(1912)のなかにその環境の情景が描かれている。独学によって百科全書的な博識を身につけ,反権威主義的な思考態度を培う。プレッツォリーニを知り,その交友を通じてイデオローグ,評論家,文化の舵取りとしてのみずからの天稟に目覚めた。1903年,プレッツォリーニとともに《レオナルド》誌を創刊,また国粋主義者コッラディーニの雑誌《領土》編集長となる。06年,処女作《哲学者の黄昏》を刊行,カント,ヘーゲルら6人の哲学者を俎上に載せて酷評した。08年,プレッツォリーニの《ボーチェ》誌に全面協力。A.ソッフィチと創刊した前衛雑誌《ラチェルバ》(1913-15)を介してマリネッティらの未来派に接近,〈破壊〉を信条とするこの体験の延長上に,官製の文化,古典作品に対する偶像破壊的な試み《酷評》(1916)が生まれた。しかし,21年刊行の《キリストの物語》によってカトリシズムへの帰依,広義には〈秩序への回帰〉を表明。その後ファシズムに全面的に身を寄せ,かつてみずからが毒舌を浴びせたアカデミー会員になった。ファシズム支配下に発表したおびただしい数の著作には歴史の審判に耐えうるものはほとんどない。
執筆者:古賀 弘人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イタリアの作家、評論家、詩人、編集者。『レオナルド』誌を創刊(1903)。国家主義的刊行物『王国』の編集長。『声』誌の寄稿者。前衛誌『ラチェルバ』を創刊(1913)し、未来派を擁護したが、のちこの運動から脱退する。若いころは戦闘的無神論者で、第一次世界大戦後、カトリック教への回心を表明する(『キリストの生涯』1921)。物語、詩のほか、哲学、歴史、宗教など広い分野にわたる著作活動をきわめて野心的に行った。また逆説と風刺と情熱に満ちた論争家の一面もある。『哲学者たちのたそがれ』(1906)では19世紀の主要思想家を不確実性のゆえに批判し、『失敗者』(1912)ではあまりに多くの事を企てて失敗した自己の経歴を語り、『生けるダンテ』(1933)ではきわめて人間的なダンテ像を描く。ファシズム時代にはその政策にくみした。
[佐藤三夫]
『宮崎信彦訳『生けるダンテ』(1949・日本書院)』
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