パラアルデヒド(読み)ぱらあるでひど(英語表記)paraldehyde

翻訳|paraldehyde

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラアルデヒド」の意味・わかりやすい解説

パラアルデヒド
ぱらあるでひど
paraldehyde

アセトアルデヒドCH3CHOの6員環状の三量体。パラアセトアルデヒドともよばれる。アセトアルデヒド濃硫酸塩酸などとともに加熱すると生成する()。

 三量体を生成する反応は可逆反応であるので、酸の作用によりアセトアルデヒドが再生される。特有のにおいをもつ無色液体で、水にかなり溶け、エタノールエチルアルコール)、エーテルなどの有機溶媒と任意の割合で混じり合う。有機合成原料、医薬樹脂ゴムなどの溶剤、ゴムの加硫促進剤などに用いられる。

[廣田 穰 2015年3月19日]



パラアルデヒド(データノート)
ぱらあるでひどでーたのーと

パラアルデヒド
 分子式 C6H12O3
 分子量 132.2
 融点  12.45℃
 沸点  128.0℃
 比重  0.9943(測定温度20℃)
 屈折率 (n) 1.4049
 引火点 36℃(開放式)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラアルデヒド」の意味・わかりやすい解説

パラアルデヒド
paraldehyde

アセトアルデヒドに 1滴の濃硫酸を加えると,発熱重合してできる刺激臭のある液体。化学式 C6H12O3。沸点 124℃。また無水針状結晶のメタアルデヒド C8H16O4 を放置しておくと,徐々にパラアルデヒドに変わる。この両重合体はアルデヒドの性質を失い,還元性がなく,ヒドラゾン,オキシムをつくらない。硫酸を加えて蒸留すると,アセトアルデヒドに戻る。1829年に創製され,1883年に初めて催眠剤として使用された。催眠剤,鎮静剤として作用は確実,迅速,毒性も弱いが,悪臭と不快味のため今日ではあまり使用されない。

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