パンスターズ(読み)ぱんすたーず

デジタル大辞泉 「パンスターズ」の意味・読み・例文・類語

パン‐スターズ【Pan-STARRS】[Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System]

Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System》継続的に全天観測を行い、地球に衝突する恐れがある天体発見する国際プロジェクト。2008年、米国英国ドイツ台湾の大学や研究機関による共同運用が始まった。ハワイ島マウナケア山・ハレアカラ山に口径1.8メートルの望遠鏡を合計4台設置し、24等級までの明るさの天体を検出する。危険な天体の監視ほか小惑星彗星変光星太陽系外惑星・星の固有運動など、天文学上のさまざまな知見が得られると期待されている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンスターズ」の意味・わかりやすい解説

パンスターズ
ぱんすたーず

地球接近天体の監視観測計画。アメリカのハワイ大学、マサチューセッツ工科大学による共同計画で、ドイツ、イギリス、台湾の大学や研究機関も参加している。Pan-STARRSと表記し、Panoramic Survey Telescope and Rapid Response Systemの略称。4台の口径1.8メートルの望遠鏡により、全天の4分の3の領域を継続的に観測し、地球に衝突するおそれのある小天体の発見や突発的天体現象の発見を目ざす。望遠鏡はハワイのハレアカラ山とマウナ・ケア山に建設される予定であるが、プロトタイプといえるPS1の設置がハレアカラ山頂にすんでおり、2008年から稼動している。2022年時点でPS2も稼動中。一つの望遠鏡に約14億画素のCCD電荷結合素子)が装備され、視野として3度という大きな画角をもち、24等級までの星を非常に効率よく観測できる。将来的には1か月に4回程度、全天を観測できる予定である。この継続的(時系列)なデータを解析することにより、以下の成果が期待されている。小惑星の発見(とくに地球に近づくおそれのある地球近傍小惑星探査)、彗星(すいせい)の発見、太陽系外縁天体の観測、変光星(とくにセファイド型変光星食変光星)の観測、Ia型超新星の発見・観測、γ(ガンマ)線バースト天体の残光観測、食検出法などによる太陽系外惑星の発見などである。

 2013年の春に肉眼彗星になったパンスターズ彗星(C/2011L4)の発見(2011年6月)で有名になった。

[編集部 2023年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android