ヒメスイバ(読み)ひめすいば(その他表記)sheep's sorrell

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメスイバ」の意味・わかりやすい解説

ヒメスイバ
ひめすいば / 姫酸葉
sheep's sorrell
[学] Rumex acetosella L.

タデ科(APG分類:タデ科)の一年草。全草、毛はない。茎は根際(ねぎわ)で分枝して直立し、高さ20~50センチメートル。下部の葉は長い柄があり、矛形で下部の裂片は左右に開き、長さ3~6センチメートル、幅1~2センチメートル。雌雄異株。5~8月、茎の先に円錐(えんすい)花序をつくり、多数の小花を開く。花被(かひ)は6枚、赤色を帯びる。花柱は3本、先は細裂する。果実三稜(さんりょう)形で長さ1.5ミリメートル。名は、全体がスイバに似るが、より小形であることによる。ヨーロッパ原産。明治初期に帰化し、道端などに普通にみられる。

山崎 敬 2020年12月11日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒメスイバ」の意味・わかりやすい解説

ヒメスイバ(姫酸葉)
ヒメスイバ
Rumex acetosella

タデ科の多年草。ヨーロッパ原産であるが雑草として世界中に広まり,日本には明治初期に牧草に混って伝えられた。現在では日本各地の荒れ地路傍日当りのよい場所にみられ,酸性の土地に多い。根茎は地中をはい,盛んに株を分けて繁殖する。茎は直立し,緑色で赤色を帯び高さ約 50cmになる。根出葉は細長い葉柄をもつ披針形ないし長楕円形で,先端はとがり基部はほこ形をなす。茎葉は数枚で上のものほど小型になる。春から夏にかけて,枝先に円錐花序をなして緑褐色の小花を密につける。雌雄異株で,花弁はなく萼片は6枚。雌花の花被片は花後スイバのようには大きくならない。果実は3稜形の痩果で紫褐色をしている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヒメスイバの言及

【スイバ】より

… スイバの所属するギシギシ属Rumex(英名sorrel,dock)は,北半球の温帯域に約200種が分布し,日本にも14種が分布する。ヒメスイバR.acetosella L.(英名sheep sorrel)はスイバと同様,茎葉に酸味がある。雌雄異株で,茎は高さ20~50cm,雌株の方が大きい。…

※「ヒメスイバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android