日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメネズミ」の意味・わかりやすい解説
ヒメネズミ
ひめねずみ / 姫鼠
small Japanese field mouse
[学] Apodemus argenteus
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ネズミ科の動物。日本特産。北海道、本州、四国、九州のほか、利尻(りしり)島、佐渡島、粟(あわ)島、隠岐(おき)諸島、対馬(つしま)、淡路(あわじ)島、金華山、種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)などにも分布している。頭胴長7.2~9.9センチメートル、尾長7.4~10.8センチメートル、体重約20グラム。低地から高山帯までの森林にすむが、亜高山帯に多い。森林が伐開されると、本種にかわって同属のアカネズミがすむようになる。春から秋に出産し1産2~8子。鳥の巣箱に入ることもある。また、山小屋に入ってくることもある。乳頭は4対。春から夏には昆虫類、夏には果実類、秋から冬には種子を多く食べる。貯食の習性をもつ。分布の全域にわたって、形態にほとんど地理的変異がみられないことは興味深い。
[宮尾嶽雄]