日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒャクニチソウ」の意味・わかりやすい解説
ヒャクニチソウ
ひゃくにちそう / 百日草
[学] Zinnia elegans Jacq.
キク科(APG分類:キク科)の不耐寒性一年草。属名のジニアの名でよばれることもある。メキシコ原産で江戸時代末期に日本に渡来した。茎は中空で直立し高さ約1メートル。葉は茎を抱くように対生し、倒卵状楕円(とうえんじょうだえん)形で先端はとがる。盛夏期から秋にかけて次々と花を開く。原種は一重咲きであるが、改良された園芸種は花弁が重なった重弁花で、花弁はじょうぶで散ることはなく、百日草の名のとおり長い間観賞に堪える。園芸的に高度に改良された草花の代表で、さまざまな形態のものがあり、花色も豊富。大輪種は花径が10センチメートルを超え、花弁が幅広いダリア咲きと、細くよじれるカクタス咲きがある。中輪種は花径5~8センチメートル、茎がじょうぶで枝打ちも多いので、盆花としてよく用いられる。ポンポン咲きは花径約3センチメートル、花もちがいいので、やはり切り花向きである。これら高性種のほか、最近、高さ20~40センチメートルの矮性(わいせい)種がつくられ、枝が太く、横張りに伸びてこんもりと育つので、花壇やプランター植えによく用いる。栽培は容易で生育も速く、家庭園芸に向く。4~7月、日当りのよい、やや乾燥ぎみの所に播種(はしゅ)する。一般的ではないが、メキシコジニアZ. haageana RegelやホソバヒャクニチソウZ. angustifolia Kunth(Z. linearis Benth.)も栽培される。
[伊藤秋夫 2022年3月23日]