ヒレアシシギ(読み)ひれあししぎ(英語表記)phalarope

翻訳|phalarope

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒレアシシギ」の意味・わかりやすい解説

ヒレアシシギ
Phalaropus; phalaropes

チドリ目シギ科ヒレアシシギ属の鳥の総称。3種からなる。全長 18~23cm。ハイイロヒレアシシギ Phalaropus fulicariusアカエリヒレアシシギ北極圏で繁殖し,西アフリカやチリの沖合い,アラビア海などで越冬する。この 2種は繁殖期以外は外洋で生活し,海面近くにいるプランクトンを食べる。もう 1種のアメリカヒレアシシギ P. tricolorカナダ南西部とアメリカ合衆国中西部の内陸塩湖などの湖畔湿地で繁殖し,南アメリカのおもに内陸の水域へ渡る。3種とも雄より雌のほうが色も鮮やかで,体も大きい。一妻多夫の繁殖習性をもち,ほかの多くの鳥とは異なり,雌がなわばりを維持し,営巣抱卵,育雛はすべて雄だけで行なう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒレアシシギ」の意味・わかりやすい解説

ヒレアシシギ
ひれあししぎ / 鰭足鷸
phalarope

鳥綱チドリ目ヒレアシシギ科に属する鳥の総称。この科Phalaropodidaeには3種があり、ユーラシア北部および北アメリカの中部と北部で繁殖し、冬は南へ渡る。日本には2種が旅鳥として春と秋に渡来する。全長20センチメートル前後、嘴(くちばし)は細い。足指にはひれ状の膜があり、泳ぎが巧みである。雌は雄より美しく、抱卵、育雛(いくすう)は雄が行う。渡りのときには、海洋に降りることが多いが、海岸、湖沼干拓地の水たまり、水田などにも飛来することがある。水面をくるくると回って泳ぎ、水流とともに浮いてくる微生物を食べる。アカエリヒレアシシギは全長約19センチメートル、夏羽は頸(くび)が赤褐色。日本にはほかにハイイロヒレアシシギが渡来する。もう1種のサンショクヒレアシシギは北アメリカで繁殖し、南アメリカまで渡る。

高野伸二


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