日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビサヤ」の意味・わかりやすい解説
ビサヤ
びさや
Visaya
フィリピン中部のビサヤ諸島(サマル、レイテ、セブ、パナイ、ネグロス、ボホルなど)およびミンダナオ島の一部に住む人々。ビサヤ語はマライ・ポリネシア語族に属し、セブ語(ゼブアノ語)など四つの方言に分かれ、それとともに社会、文化も多少異なるが、いずれも、他のキリスト教徒フィリピン人と同様に、スペイン文化の影響を受けた独特のフィリピン・キリスト教文化を形成している。一般に、ヤシの葉で屋根を葺(ふ)き、木と竹でつくった杭上(こうじょう)家屋に住み、米やトウモロコシ、マニラ麻を栽培し、漁業を行う。換金作物としてサトウキビやココナッツを栽培する。しかし最近では、とくにセブ市やイロイロ市などの都市部のビサヤ人の生活は急激に西欧化しつつあり、また多くのビサヤ人がグアム、ハワイ、アメリカ合衆国本土へ移民として出ている。
[板橋作美]