家庭医学館 「ビタミンB6と代謝異常」の解説
びたみんびーろくとたいしゃいじょう【ビタミンB6と代謝異常】
また、一種のたんぱく質である副腎髄質(ふくじんずいしつ)ホルモン(アドレナリンとノルアドレナリン。自律神経にはたらいて興奮(こうふん)や血圧を上昇させます)や神経伝達物質の合成にもかかわっています。
このビタミンが不足すると、湿疹(しっしん)、赤い発疹(ほっしん)ができて皮膚がはがれる脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)(「脂漏性皮膚炎」)、くちびるが荒れる口唇炎(こうしんえん)、潰瘍(かいよう)ができる舌炎(ぜつえん)、貧血、神経炎、食欲不振などがおこります。また、免疫力が低下したり、歯や歯ぐきの異常がおこったりします。
過剰症はとくにおこりません。
●原因
日本人は、通常の食事をしていれば、ビタミンB6の不足は、ほとんどおこらないといわれています。それは、主食の米にビタミンB6が多く含まれているためです。
さらに、腸内にすみついている腸内細菌が、このビタミンB6を合成してくれます。
しかし、抗生物質を長期にわたって使用すると、このビタミンB6欠乏症になりやすくなると考えられています。
また、ビタミンB6がはたらきを助けている酵素の異常であるシスタチオニン尿症(にょうしょう)やキサンツレン酸尿症(さんにょうしょう)などの先天性の病気では、大量のビタミンB6を摂取し続ける必要があります。これをビタミンB6依存症といいます。
●検査と診断
ビタミンB6欠乏症が疑われたら、血液や尿中のビタミンB6誘導体(少し変形したもの)の値や、ビタミンB6がはたらきを助ける血中の酵素の活性(性能)を測定します。
また、アミノ酸(トリプトファン)を内服し、尿に出るキサンツレン酸を調べて、ビタミンB6がアミノ酸の代謝に、どの程度はたらいているかを調べることもあります。
●治療
ビタミンB6欠乏症の治療では、ビタミンB6薬を服用したり、注射したりします。
●予防
日本人は、極端な偏食をしないかぎり、ビタミンB6が不足することは、ほとんどありません。しかし、たんぱく質の摂取が増えるなど、食生活が変化すれば、必要量も変わると考えられています。
また、高齢者、とくにひとり暮らしのお年寄りや、種々の薬を服用している人では、ビタミンB6を多く摂取することが健康によいといわれたりします。
ビタミンB6は、動物性・植物性食品に広く含まれています。牛肉、豚肉、鶏肉、赤身の魚には、とくに多く含まれています。
したがって、いろいろな食品をバランスよく食べれば、十分に摂取することができます。