日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビャーゼムスキー」の意味・わかりやすい解説
ビャーゼムスキー
びゃーぜむすきー
Пётр Андреевич Вяземский/Pyotr Andreevich Vyazemskiy
(1792―1878)
ロシアの詩人、批評家、公爵。1810~20年代にプーシキンや後のデカブリストと交わり、官僚制度に批判的であったが、のちに宮廷に近づき、56~58年は検閲の責任者を務めた。63年以後はほとんど外国に暮らし、ドイツで死んだ。詩壇への登場は1808年からで、初期の市民詩、風刺詩ではデカブリスト詩人に近い。新旧文体論争ではカラムジンを支持、ロマンチシズムを擁護し、擬古典主義を排した。年とともに政治的信条、文学観ともに保守化したが、多岐のジャンルにわたる詩風は軽妙で変わらず、回想記『手帳』(1883~86)は19世紀前半の社会文化誌として史料的価値も高い。
[島田 陽]