スペイン出身の人文主義者、哲学者。パリで学んだのちブリュージュに定住。エラスムスらと親交を結ぶ。旺盛(おうせい)な批判精神をもって、中世の堕落したスコラ学を批判し、人文主義を背景に経験論的立場から主著『学問論』De disciplines(1531)などで、人間論、学問論、教育論を体系的に展開し、実証的自然科学を高く評価している。『霊魂・生命論』De anima et vita(1538)は記述的心理学の先駆とされる。また、平和論、貧民救済論なども手がけた。
[生]1492.3.6. バレンシア [没]1540.5.6. ブリュージュ スペインの人文主義者。教育学,哲学,心理学に卓越し,後代の学者に多大の影響を及ぼした。 1509~12年パリで学び,19年ルーバンの人文学教授。 23年渡英して王女の傅育官に迎えられ,オックスフォード大学哲学教授もつとめる。 27年ヘンリー8世の離婚に反対して投獄されたが,その後はオランダへ渡り著述に専念した。主著『子供の正しい教え方』 De ratione studii puerilis (1523) ,『慧智への入門』 Introductio ad sapientiam (英訳 40) ,『陶冶論 20編』 De disciplinis libri XX (31) など。また近代心理学の父と呼ばれ,その面での主著は『魂と生命についての3編』 De anima et vita libri tres (38) 。