ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビールーニー」の意味・わかりやすい解説
ビールーニー
al-Bīrūnī, Abū al-Rayhān Muḥammad b. Aḥmad
[没]1050頃.ガズニー
中世イスラム世界の最大の学者の一人。数学,天文学,医学などの自然科学だけではなく,地理学,歴史学,言語学などにも秀で,著書,論文の数は百八十余に達した。故郷で教育を受け,998年頃ジュルジャーンにおもむき,ジヤール朝のカーブースに仕え,古来の暦法に関するすぐれた著書『いにしえより残りしもののあと』 al-Āthār al-Bāqiya `an al-Qurūn al-Khāliya (1000頃) を献呈した。 1008年頃ホラズムに戻ったが,17年ガズニー朝のマフムードによるホラズム征服の際,捕虜としてガズニーに連行された。以後占星家としてマフムードに仕え,彼のインド遠征にも加わって,『インド誌』 Ta'rīkh al-Hind (30) を著わした。また天文学に関する『天体,天文についてのマスウードの法典』 al-Qānūn al-Mas`ūdī fī al-Hay'a wa al-Nujūm (30) を著わし,スルタン・マスウードに献呈している。彼は地球の自転説を唱え,地球の周囲の計測法を確立した。地球の周囲の長さについて彼が算出した測定値は,現在の天文学の測定値とほぼ一致している。ほかに鉱物学や薬学,数学に関する著書が知られている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報