日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピアス鉱」の意味・わかりやすい解説
ピアス鉱
ぴあすこう
pearceite
少量の銅(Cu)を含む銀(Ag)とヒ素(As)の硫塩鉱物。化学式[Ag9CuS4][(Ag,Cu)6(As,Sb)2S7]は2007年に決定された。アンチモン(Sb)置換体のポリバス鉱(雑銀鉱)などとともにピアス鉱‐ポリバス鉱系を形成する。三方ac型、三方2ac型、単斜(擬三方)2a2b2c型の多型、あるいは超周期相が少なくとも計3種類知られている。自形は六角板状。底面上の条線は三方晶系の対称に従っている。
浅~深熱水性鉱脈型金・銀鉱床から産する。日本では新潟県佐渡(さど)市佐渡鉱山(閉山)のものがわずかにAs>Sbの単斜相であることが確認されている。共存鉱物は針銀鉱、自然銀、淡紅銀鉱、石英、方解石、重晶石など。命名はアメリカ、コロラド州デンバーDenverに在住していた化学者リチャード・ピアスRichard Pearce(1837―1927)にちなむ。
[加藤 昭 2018年7月20日]