フアン2世(その他表記)Juan Ⅱ

改訂新版 世界大百科事典 「フアン2世」の意味・わかりやすい解説

フアン[2世]
Juan Ⅱ
生没年:1398-1479

アラゴン・トラスタマラ朝初代のフェルナンド1世の次男で,いわゆる〈アラゴンの王子たち〉の一人。ナバラ王女と結婚してナバラ王(在位,1425-79)となり,次いでアラゴン連合王国王位(在位,1458-79)にも就いた。

 政治的才能と外交手腕にたけ,またそれだけに野心家でもあったフアン2世の一生は,戦闘の連続だった。まず多く利権をもつカスティリャ内政にオルメードの戦(1445)で敗れるまで執拗に干渉した。この後,ナバラの王位をめぐって長男カルロスと不仲になり,このために同国は内戦状態に陥った。そして事態はそのままカタルニャへ飛火し,ここでは王と同国議会の対立に農民対領主の抗争が重なって激しい長期の内乱(1461-71)を惹起した。そしてこの間にピレネー以北の領土がフランス王に占領されるなどの外圧も加わると,王はカスティリャとの連合結成によって危機を乗り切ろうと図った。具体的には次男フェルナンドとカスティリャ王女イサベルとの結婚を画策,当のカスティリャ王をはじめ内外の強い反対を巧みに押し切って,1469年これを実現した。
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フアン[2世]
Juan Ⅱ
生没年:1405-54

カスティリャ王。在位,1407-54年。後のカトリック女王イサベル1世の父。中世末期のその治世下,カスティリャは王権の強化に向かう西ヨーロッパ政治の趨勢とこれに対する大貴族抵抗激突を繰り返す舞台と化した。生来気弱で積極的に主導権を行使する才覚にも欠けた王は,終始状況の推移に翻弄され続け,王に代わって政治の采配を振るった寵臣アルバロ・デ・ルナÁlvaro de Luna(1390?-1453)が政敵の手で処刑されると,まもなく没した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フアン2世」の意味・わかりやすい解説

フアン2世[ナバラ王]
フアンにせい[ナバラおう]
Juan II

[生]1398. メディナデルカンポ
[没]1479.1.19. バルセロナ
ナバラ王 (在位 1425~79) ,アラゴン王 (在位 58~79) 。ナバラ王カルロス3世の娘ブランカとの結婚によりナバラ王に即位,また兄王アルフォンソ5世 (度量王) の死によりアラゴン王となる。カタルニャの反乱鎮圧のためにフランス王ルイ 11世の支持を求め,1472年カタルニャを再征服した。彼の息子は,イサベル (のちのイサベル1世) と結婚してスペインを統一したフェルナンド2世 (カトリック王)

フアン2世[カスティリア王]
フアンにせい[カスティリアおう]
Juan II

[生]1405. トロ
[没]1454.7.21. バリャドリド
カスティリア=レオン王 (在位 1406~54) 。エンリケ3世 (病弱王)の子。イサベル1世の父。2歳に満たずして叔父フェルナンドの摂政下に即位。王権の衰退に乗じた貴族の跋扈 (ばっこ) に悩まされたが,文芸を保護し,その治世下に中世カスティリア文学の開花をみた。

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世界大百科事典(旧版)内のフアン2世の言及

【ルナ】より

…カスティリャ王フアン2世の寵臣。アラゴンの名門貴族ルナ家の出身。…

※「フアン2世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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