フェリペ4世(読み)フェリペよんせい(英語表記)Felipe IV

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェリペ4世」の意味・わかりやすい解説

フェリペ4世
フェリペよんせい
Felipe IV

[生]1605.4.8. バリャドリド
[没]1665.9.17. マドリード
スペイン王(在位 1621~65),フェリペ3世としてポルトガル王(在位 1621~40)。フェリペ3世と神聖ローマ皇帝フェルディナント2世の妹マルガレーテの長男。前王に続いて寵臣政治を行ない宰相オリバレス伯公爵ガスパール・デ・グスマンに政治をまかせ,自身は乗馬狩猟を楽しみ,美術,文学の保護者として趣味の生活に没頭し,宮廷奢侈に流れた。1636年,オーストリアに味方して三十年戦争に参加。強圧的な絶対主義支配により,1640年にカタルニャ反乱が起こり,ポルトガルが再び独立した。オリバレスは責任を問われて免職となり,一時親政が行なわれたが,まもなくオリバレスの甥のルイス・メンデス・デ・アロが宰相に任命され寵臣政治が続けられた。1648年のウェストファリアの講和ではネーデルラントの独立を正式に承認させられ,対フランス戦争の結果はピレネー条約で決定され,スペインはフェリペ4世の娘マリア・テレサマリ・テレーズ)をフランス王ルイ14世の妃とすること,アルトア,ルーシヨン伯領などをフランスに割譲することとなり,いずれも不利な結果に終わった。イギリスオランダの西インド貿易への進出,国内産業の衰退などはスペインの国力を弱め,教会の支配力のみが強力であった。しかし彼の保護により,芸術方面では宮廷画家ディエゴ・ベラスケス,その弟子バルトロメ・エステバン・ムリリョらが輩出し,スペイン大帝国繁栄の残照をとどめた。

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