もともとは映像や音響がしだいに消えうせていくことをいうが、それから転じて、発展途上国に直接投資をした企業が、保有株式を漸進的、段階的に現地に移し、経営支配権を譲渡することを意味する。先進国企業の途上国への直接投資は、資金提供、技術移転、雇用創出などに役だつメリットもあるが、一方、利潤の本国送金などをめぐって途上国の経済ナショナリズムと対立しやすい。そこで経済ナショナリズムが急激な国有化に結び付かないよう、あらかじめ進出企業と現地側との利害調整を行い、操業開始後ある一定期間内(普通15~20年)に段階的に出資比率を引き下げて現地側に経営を移譲するが、この期間内では進出企業は完全あるいは過半数所有を認められ、利潤の本国送金もできるというものである。しかし、フェード・アウト規制は多国籍企業の長期的な海外経営戦略とかならずしも両立しないため、この条項をもつ途上国へ直接投資をするのをためらうという事態もおこっている。
[秋山憲治]
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