酸化銅(読み)さんかどう(英語表記)copper oxide

  • さんかどう サンクヮ‥
  • さんかどう〔サンクワ〕
  • 酸化銅 copper oxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

(1) 酸化 (I) ,酸化第一銅  Cu2O 。俗に亜酸化銅ともいう。天然には赤褐色の赤銅鉱として産する。立方晶系の結晶。色は製法粒子の大きさによって多様で,,赤,褐色などを呈する。湿った空気中では酸化されて酸化銅 (II) となる。融点 1232℃,比重 6.04。整流器触媒赤色ガラス用着色剤光電池などに利用されるほか,種子の殺菌,海水用ペイントなどに使用される。 (2) 酸化銅 (II) ,酸化第二銅  CuO 。天然には,黒色黒銅鉱として産出。銅を空気中で赤熱するとき生成する。黒色ないし黒褐色無定形粉末。融点 1148℃,比重 6.4。水に不溶。ガラス,陶器エナメル,磁器用顔料,レーヨン製造,銅塩の製造,光学ガラス研磨材,触媒,その他に用いられる。

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デジタル大辞泉の解説

酸化物
酸化銅(Ⅰ)(酸化第一銅)Cu2O 硫酸銅(Ⅱ)水溶液フェーリング液還元して得られる赤色の結晶性粉末。天然には赤銅鉱として産出。赤色顔料、ガラスの着色剤などに使用。亜酸化銅。
酸化銅(Ⅱ)(酸化第二銅)CuO 銅片を空気中で赤熱して得られる黒色粉末。天然には黒銅鉱として産出。窯業の緑青色顔料、塗料、酸化剤などに用いる。

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百科事典マイペディアの解説

(1)酸化銅(I)Cu2O。亜酸化銅とも。比重6.04,融点1235℃。水に不溶の赤色粉末。濃アンモニア水可溶。ガラス・陶磁器の赤色着色剤などに使用。天然には赤銅鉱として産。(2)酸化銅(II)CuO。比重6.31,融点1026℃。水に不溶の黒色粉末。希酸に可溶。ガラス・陶磁器の緑青色着色剤,触媒,有機分析(酸化剤)に使用。天然には黒銅鉱として産。水酸化銅(II)や硝酸銅(II),炭酸銅(II)を700℃ほどで焼くと得られる。

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世界大百科事典 第2版の解説

銅の酸化数が異なる2種の酸化銅が存在する。
[酸化銅(I)]
 化学式Cu2O。赤色固体。赤銅鉱として天然に産出する。フェーリング液(2価銅イオンのアルカリ性酒石酸ナトリウムカリウム溶液)にグルコースを加えるとCuIIが還元されてCu2Oが赤色沈殿する。この反応は鋭敏で,糖の検出に用いられる。結晶中では酸素の体心立方格子中に4個の銅が入っていて,酸素のまわりに4個の銅原子が正四面体に配位している。これは空隙の多い構造なので実際のCu2Oでは,格子が互いに入りくんだ構造をとっている。

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大辞林 第三版の解説

酸化銅(Ⅰ)。化学式 Cu2O 赤色の結晶性粉末。天然には赤銅鉱として産出する。赤色ガラスの着色剤や半導体として整流器・光電池の材料に用いられる。亜酸化銅。
酸化銅(Ⅱ)。化学式 CuO 天然には黒銅鉱として得られる。銅片を空気中で赤熱して得られる黒色粉末。顔料・酸化剤・触媒として用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

酸素と銅の化合物。酸化数およびの化合物が知られている。
(1)酸化銅() 俗に亜酸化銅とよばれる。天然には赤銅鉱として産する。酢酸銅()水溶液にヒドラジンを加えてつくるか、フェーリング溶液にブドウ糖を加えて温めてつくる。赤色結晶性粉末。乾燥空気中では安定であるが、湿気があると徐々に酸化されて酸化銅()となる。1000℃以上では酸化銅()よりも安定。1800℃以上で酸素を失う。水に不溶。塩酸、アンモニア水に溶けて無色の溶液となるが、空気に触れると酸化されて着色する。硫酸と温めると硫酸銅()と金属銅に不均化する。ガラス、エナメルなどの赤色顔料、船底塗料などに用いられる。
(2)酸化銅() 天然には黒銅鉱として産出する。水酸化銅()、硝酸銅()、塩基性炭酸銅()などを強熱するか、銅線を空気中で赤熱すると得られる。水には不溶であるが、酸には溶ける。アンモニア水、塩化アンモニウムあるいはシアン化カリウム水溶液に可溶性錯塩をつくって溶ける。また水酸化アルカリ水溶液にも溶けて濃青色溶液となる。水素気流中で熱すると250℃以下で金属銅となる。緑青色顔料としてガラスなどに使われ、塗料としても用いられる。化学では元素分析用酸化剤として用いられる。[中原勝儼]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 銅の酸化物。
① 酸化第一銅。化学式 Cu2O 暗赤色または橙黄色、等軸晶系の結晶性粉末。天然には赤銅鉱として産出。ガラス・エナメルなどの赤色顔料、船底塗料、亜酸化銅整流器などに用いられる。亜酸化銅。
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三「赤色玻瓈は、酸化銅の発色なり」
② 酸化第二銅。化学式 CuO 単斜晶系の黒色粉末。天然には黒銅鉱として産出。緑青色顔料・酸化剤・塗料・触媒などに用いられる。

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化学辞典 第2版の解説

】酸化銅(Ⅰ):Cu2O(143.09).亜酸化銅ともいう.天然には赤銅鉱として産出する.銅(Ⅱ)塩のアルカリ性水溶液を,ヒドラジンなどの還元剤で注意深く処理すると黄色の酸化銅(Ⅰ)が得られる.酸化銅(Ⅱ)を熱分解すると赤色の酸化銅(Ⅰ)が得られる.製法により,黄,橙,赤,暗褐色の酸化銅(Ⅰ)が得られるが,色の変化は結晶粒子の大きさの差による.融点1232 ℃.1800 ℃ 以上で分解する.密度5.88 g cm-3.水に不溶.希硫酸に溶けて硫酸銅(Ⅱ)と銅を生じる.アンモニア水および濃厚なハロゲン化水素酸HXを加えると[Cu(NH3)2]OHおよびH[CuX2]などの無色の錯塩をつくって溶ける.ハロゲン化水素酸が希薄なときは相当するハロゲン塩CuX2にかわる.水酸化アルカリ水溶液に可溶.整流器,赤色うわぐすり,殺菌剤,船底塗料などに用いられる.[CAS 1317-39-1]【】酸化銅(Ⅱ):CuO(79.55).天然には黒銅鉱として産出する.銅粉を過剰な酸素中で加熱酸化するか,硝酸銅(Ⅱ)または炭酸銅(Ⅱ)の熱分解で得られる.黒色の無定形粉末.無定形な酸化銅は多量の気体を吸着する性質がある.密度6.3~6.4 g cm-3.水に不溶.1000 ℃ 以上で酸化銅(Ⅰ)と酸素に解離する.250 ℃ で水素により還元される.強力な酸化剤で有機元素分析,ガス分析に用いられる.そのほか,触媒,顔料,窯業用うわぐすり,ガラス用着色剤,電子部品用材料などに用いられる.[CAS 1317-38-0]

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