改訂新版 世界大百科事典 「マルヌ川」の意味・わかりやすい解説
マルヌ[川]
Marne
フランス北東部を流れるセーヌ川最大の支流。全長525km。パリ盆地南東部のラングル台地に発し,西に大きく弧を描きながらパリ盆地を貫流して,パリ東端のシャラントンでセーヌ川に合流する。主として石灰岩地域を流れるため水量は比較的少なく,舟運は中流部のエペルネーまでに限られる。それより上流側は,川に沿ってつくられた運河による水運があり,最上流部ではソーヌ川と結ばれている。中流部のシャンパーニュ地方は白亜(チョーク)石灰岩が広く露出して乾燥した荒地をつくり,シャンパン用のブドウ栽培が行われる。エペルネーにはシャンパン工場が集中している。イル・ド・フランスに入ると,マルヌ川は小麦,テンサイの大規模単作地帯であるブリー台地を深く刻み,大きく蛇行する。マルヌ河谷は東からパリへ近づく交通路として古くから利用されたため,中世以来の要塞も多く,また第1次大戦時には激戦地となった。
執筆者:小野 有五
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報