日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォーゲル」の意味・わかりやすい解説
フォーゲル(Robert William Fogel)
ふぉーげる
Robert William Fogel
(1926―2013)
アメリカの計量経済史研究の第一人者。ロシア移民の子としてニューヨーク市に生まれる。コーネル大学、コロンビア大学などで学び、1963年にジョンズ・ホプキンズ大学で博士号を取得。ジョンズ・ホプキンズ大学、ロチェスター大学、シカゴ大学で教え、ハーバード大学教授を経てシカゴ大学教授。「経済理論と計量経済学を応用することで、経済史の分野に新しい境地、計量経済史を開いた」として、1993年に、D・C・ノースとともにノーベル経済学賞を受賞した。
アメリカ経済発展に占める鉄道の役割をデータに基づいて実証研究し、1964年の論文「Railroads and American Economic Growth : Essays in Econometric History」で、鉄道が経済発展に絶対的に必要だったとの常識を覆し、鉄道の果たした役割を認めながらも、経済発展はむしろ科学的知識の所産であるとした。1974年に発表した論文「Time on the Cross : The Economics of American Negro Slavery」では、奴隷制が非効率で前資本主義的制度であるとの通説への反証を示し、論議をよんだ。
[金子邦彦]
フォーゲル(Hermann Carl Vogel)
ふぉーげる
Hermann Carl Vogel
(1841―1907)
ドイツの天文学者。分光連星の発見者。ライプツィヒに生まれて、1867年その地の天文台に助手として観測に従事。1870年ボートカンプの私設天文台長に就任。1874年ポツダム天体物理観測所の開設にあたり、その構成員に加わり、1882年所長に昇進し、1892年ベルリン科学アカデミー会員となった。1870年代は惑星大気の分光による化学組成の分析や太陽スペクトルのドップラー効果による太陽自転速度の測定を行った。1887年恒星のスペクトル写真による視線速度の測定を開始し、1889年アルゴル星が食連星であることを検出した。そのほか高速度星52個の目録を作成した。
[島村福太郎]