日本大百科全書(ニッポニカ) 「フケー」の意味・わかりやすい解説
フケー
ふけー
Friedrich de la Motte-Fouqué
(1777―1843)
ドイツ後期ロマン派の作家。17世紀、ドイツに移住したフランス名門貴族の出。ブランデンブルク生まれ。プロイセンの軍人として対ナポレオン戦争に従軍。古代北欧の英雄時代と中世ドイツの騎士世界に強くあこがれ、神話・伝説を素材にした幻想的な物語や戯曲を多数つくった。水の妖精(ようせい)の悲恋を描いた物語『ウンディーネ』(1811)は後期ロマン主義文学の一典型。ロルツィングによるオペラ化(1845)もあるが、のちに、フランスの作家ジロドゥーによって『オンディーヌ』(1939)として戯曲化されたことでも有名。
[中井千之]
『角英祐訳『水の精ウンディーネ』(1948・弘文堂)』▽『柴田治三郎訳『水妖記』(岩波文庫)』