フケー(読み)ふけー(英語表記)Friedrich de la Motte-Fouqué

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フケー」の意味・わかりやすい解説

フケー
ふけー
Friedrich de la Motte-Fouqué
(1777―1843)

ドイツ後期ロマン派作家。17世紀、ドイツに移住したフランス名門貴族の出。ブランデンブルク生まれ。プロイセン軍人として対ナポレオン戦争に従軍。古代北欧の英雄時代と中世ドイツの騎士世界に強くあこがれ、神話・伝説を素材にした幻想的な物語や戯曲を多数つくった。水の妖精(ようせい)の悲恋を描いた物語『ウンディーネ』(1811)は後期ロマン主義文学の一典型。ロルツィングによるオペラ化(1845)もあるが、のちに、フランスの作家ジロドゥーによって『オンディーヌ』(1939)として戯曲化されたことでも有名。

[中井千之]

『角英祐訳『水の精ウンディーネ』(1948・弘文堂)』『柴田治三郎訳『水妖記』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フケー」の意味・わかりやすい解説

フケー
Fouqué, Heinrich August, Freiherr de La Motte-

[生]1698.4.4. ハーグ
[没]1774.5.3. ブランデンブルク
ドイツ,プロシアの軍人,将軍。亡命ユグノー子孫。若くしてスウェーデン王カルル 12世との戦争に参加。のちプロシア王フリードリヒ2世 (大王) の招きでプロシア軍に入り,七年戦争に従軍。その間,1760年ランデスフートの会戦オーストリア捕虜となった。帰還後は軍職を退くが,王との交友は続いた。ロマン派の詩人 F.フケー祖父にあたる。

フケー
Fouqué, Friedrich Heinrich Karl, Freiherr de La Motte-

[生]1777.2.12. ブランデンブルク
[没]1843.1.23. ベルリン
ドイツの作家。フランスから亡命した貴族の家系に生れた。後期ロマン派に属し,独立戦争時代の愛国詩人でもあり,多くの作品を残した。童話ウンディーネ』 Undine (1811) は世界的に有名。ほかに『ニーベルンゲンの歌』をドイツで最初に劇化した『北方の英雄』 Der Held des Nordens (10) がある。ロマン派のなかで最も多作で人気があったが,『ウンディーネ』以外は評価されていない。

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