改訂新版 世界大百科事典 「ブラックヒルズ」の意味・わかりやすい解説
ブラック・ヒルズ
Black Hills
アメリカ合衆国サウス・ダコタ州西部からワイオミング州北東部にかけて広がる山地。グレート・プレーンズから900mの比高をなしてそびえ,最高峰はハーニー山(2206m)。平地から見ると山地を松の森林がおおい黒く見えることから,スー族によって〈黒い丘〉と呼ばれていた。ワイオミングでの白人侵入者とスー族の衝突の結果結ばれた1868年のララミー協定で,ミズーリ川以西の現在のサウス・ダコタ州全域は永久にスー族の保留地とされた。しかし,74年カスター将軍がこの山域で金を発見してから,多数の白人探鉱者が押し寄せて集落を建設しはじめ,デッドウッドはフロンティアで最も無法な町ともいわれた。スー族が聖地とみなしているこの山域への白人の侵入は,クレージー・ホースやシッティング・ブルに率いられたスー族の戦いを呼び起こしたが,76年ついにインディアンはこの地の権利を放棄させられた。以降,各種鉱物資源が採掘されており,ウィンド・ケーブ国立公園,ラシュモア山国定記念物などの観光地が多い。最大都市は東部のラピッド・シティ。
執筆者:矢ヶ崎 典隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報