日本大百科全書(ニッポニカ) 「プエブロ文化」の意味・わかりやすい解説
プエブロ文化
ぷえぶろぶんか
Pueblo
北アメリカ南西部の北部地方、アナサジ亜領域(現在のニュー・メキシコ、アリゾナ両州の北部、およびコロラド、ユタ両州の南部地方)にバスケットメーカー文化に次いで発展した先史文化。Ⅰ期(約1300~1100年前)からⅣ期(約600~300年前)に分けられる。新大陸独自の農耕体系、アドベ(日干しれんが)や石積みの大規模集落に特徴づけられる。
16世紀以降スペイン人の植民地建設に伴い文化は変化したが、現在に至るまでその統一性は維持されている。もっとも発展したのはプエブロⅢ期(約900~600年前)で、渓谷の崖(がけ)に形成された窪(くぼ)みや平地に石積みの集合住居を建設した。とくにチャコ・キャニオンのプエブロ・ボニート遺跡やメサ・バード国立公園のクリフ・パレス遺跡は3~4階建ての住居と宗教的建造物であるキバKivaからなる防衛的な大集落である。農地は集落の外に設けられ、天水利用と水路による灌漑(かんがい)の両方がとられた。地下式のキバを中心に複雑な宗教儀礼が発達していた。
[小谷凱宣]