古代ギリシアの代表的なソフィスト。シチリア島の町レオンティノイに生まれる。紀元前427年、外交使節としてアテネへ赴き、弁論の才をうたわれた。エンペドクレスの弟子とされるが、エレア学派の影響も著しい。『非存在について、あるいは自然について』と題される著作では、何ものも存在しないこと、たとえ存在するとしても知られえないこと、たとえ知られうるとしても他人に伝ええないこと、を論証しようと努めたが、これは、弁論術(レートリケー)の遊戯によるものと解されている。ほかに『ヘレネ頌(しょう)』『パラメデスの弁明』などの著作もあるが、いずれも断片だけが残されている。
[鈴木幹也 2015年1月20日]
古代ギリシアのソフィスト,弁論術の大成者。シチリア島のレオンティノイの人で,同島のエンペドクレスに学んだとも伝えられている。前427年,軍事援助要請のための全権大使としてアテナイを訪れ,その雄弁によって使命を成功させるとともに,弁論術への大きな関心を呼び起こした。母国の政変(前423)によって亡命を余儀なくされたらしく,やがてテッサリアのラリッサに定住した。ソフィストとして活動を始めたのもこのころからであろうが,弁論術中心の教授法によってギリシア全土に名声を博した。その理念と方法は,イソクラテスの弁論術学校に継承発展され,さらに後の西欧文化の伝統にまで影響を与えている。また彼の華麗な文章技巧や修辞法は,ギリシア散文の発展に大きく貢献した。《パラメデス弁明》《ヘレネ賛》《在らぬものについて,もしくは,自然について》などの著作からの文章が残っている。
執筆者:藤澤 令夫
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前485頃~前380頃
ソフィスト,弁論家。シチリアのギリシア植民市レオンティノイ出身。前427年外交使節としてアテネにおもむき,巧みな弁舌で名声を博した。技巧を駆使し新しい散文様式の祖となった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…訳して詭弁派ともいう。当時の代表的ソフィストは,プロタゴラス(北東ギリシアのアブデラ出身),ゴルギアス(シチリア島のレオンティノイ出身),ヒッピアスHippias(ペロポネソス半島のエリス出身),プロディコスProdikos(エーゲ海のケオス島出身)などで,このほかエウエノスEuēnos,アンティフォンAntiphōn,トラシュマコスThrasymachosらがいる。彼らの活動は国際的で,アテナイを中心に多くの都市国家をわたり歩き,主として富裕な市民家庭の子弟を相手に,金銭を報酬として教育活動を行って人気を得た。…
※「ゴルギアス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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